レクサスがカフェを経営する理由
日本車やドイツ車は、そもそも機能的なものを提供するのが得意で、高田氏のいう“ラグジュアリーさ”で言えば、イタリア車やフランス車が得意分野。近年はドイツ車も高級車のカテゴリでは、ラグジュアリーさに取り組んでいるという。「日本も負けていられない。日本には昔から粋の文化もあるし、着物も裏地がきらびやかなものも多い。それはやはり、ラグジュアリーなものであって、機能性だけで作られたものじゃない。そういうブランド価値をレクサスは提供していきたい。車の場合、安全性は捨てられないけど、ラグジュアリーさは別。『意味もないけど素敵だ』というのがあったほうがいいし、それを提供していきたい」と、力を込める。 例えば、『シマモクのハンドル』。製作日数は40日近く要するが、それでハンドルがより機能的になるわけではない。塗装に関しても、職人が水研磨を行った上で、塗装を行っている。きめ細かい塗装を可能にする技術だが、走行している車をみても、水研磨を行っているかどうかは、確認できない。「機能的なことではないものに、技術と時間を費やしている。そこに価値を見出してほしいと思っています」と高田氏。 また、販売店のホスピタリティにも自信を見せる。「7年連続顧客満足度が1位になっている。レクサスは、販売台数が至上命題ではない。売ることは大事だけど、台数ばかり考えると絶対ダメ。どれだけお客さんに喜んでもらえるか。売りすぎると何が起こるか。“飽きる”というのもあるけど、セールス担当のかかえるお客様が増えると、接し方が変わる。ホスピタリティが下がる。これは気をつけないと行けない」と、徹底した“おもてなし”を重視している。 レクサスらしいライフスタイル、ラグジュアリーさを提供する、というブランドマネジメントにおいて、さまざまな取り組みを行ってきた。LEXUS SHORT FILMS(短編映画)の製作、デザインアワードの設立、オーストラリアへ招待し、大陸をレクサスで走る『LEXUS AMAZING EXPERIENCE』などクルマの機能だけに留まらない価値を提供。そしてインターセクト。 この展開は、今後も継続していく。2015年にはドバイに『インターセクト バイ レクサス 』の2号店がオープンする。翌2016年にはニューヨーク。「各国に1つずつ展開して、レクサスのライフスタイルを共有する空間を作っていきたい。ニューヨークは5thアベニューのような高級街ではなく、南青山のようなセンスある街に展開していきたい」と、世界的にレクサスの目指すライフスタイル、ラグジュアリーさを追求していく。