レクサスがカフェを経営する理由
東京・南青山の高級ブティックなど軒を連ねるエリアで、存在感を放っているカフェレストラン『インターセクト・バイ・レクサス(INTERSECT BY LEXUS)』。その名の通り、高級車レクサスが運営しているが、そこには一切、自動車は展示されていない。「レクサスが提案するライフスタイルを形にしている」(レクサスブランドマネジメント部 部長 高田敦史氏)という、カフェレストランは、販促のためではなく、レクサスが目指すラグジュアリーさが表現されている。 レクサス初のSUV「NX」新CM動画
「レクサスは、機能価値だけで売っている車ではない。『なぜアウディ?』、『なぜレクサス?』と考えたときに、自分がこうなりたい、というものを表現できる1つがレクサスである、と考えています。こういう服、時計、靴を身につけたい、と同じように。カフェと考えたときにも、その発想があった」と、高田氏は説明する。 自動車メーカーが運営するカフェで言えば、『メルセデス・ベンツ コネクション』がパイオニアだ。『インターセクト・バイ・レクサス』の発想も、そこからインスパイアされたという。「ベンツコネクションやその他様々なカフェやブランドショップをみて、レクサスもカフェをやろうという話になったのですが、 レクサスがやるからには、レクサスらしい価値を表現したいと思いました。単に車を展示して ガレージのように見せるのでなく、ライフスタイルを提案したいと考えました」(高田氏)とコンセプトを異なるものとした。「“オーナーの家”がインターセクト。ガレージだけじゃなく、リビングがあって、車体がなくてもレクサスを感じてもらえる空間を提供したかった」と、あくまで販売促進を目指すものではなく、ラグジュアリーさを表現するものの一環として、展開している。
高田氏の考える高級車には、ラグジュアリーさが必要だと言う。「『プレミアム』と『ラグジュアリー』があって、マーケティングの定義でいえば、ハイエンドに価値を乗せているのがプレミアム。ラグジュアリーは、左脳(理論的な思考)のスイッチが切れているもの。時計だと、1000円くらいの商品でも正確で機能的。でも、例えばトゥールビヨン(機械式時計に搭載されている姿勢差を克服するための機能)は1000万円以上の価値があって、職人の高い技術がつまっているけど、デジタルの正確さには勝てない。それでも、ラグジュアリーさを求めるとトゥールビヨンに魅力を感じる。そういう価値観を提供したい」と持論を展開する。