永作博美|ドラマ『この花咲くや』のロケ地・桜島で住民の暮らしに感動![インタビュー]
目の前のものを愛おしむ気持ちが前へ進む追い風になる
日一日ごとに日差しが強くなり、次の季節へと気持ちが急ぐ今日この頃。寒い冬も、自粛の日々も、私たちはいつも「その先」を見つめてきました。人はいつでも、より快いあり方を求めて前を向く。春を待つひととき、俳優・永作博美さんと、健やかな大人のあり方について語り合いました。
<体に明るい色を取り入れよう。より心地いい未来を迎えるために>
ブラウス ¥16500/パサンド バイ ヌキテパ、スカート¥29700/メゾン ド ソイル(メゾン ド ソイル 恵比寿店)、ピアス¥55000、ネックレス¥275000、リング(ブルー) ¥44000、リング(イエロー)¥44000、リング(グリーン)¥44000、リング(ピンク)¥99000/以上すべて ウパラ(パサンド バイ ヌキテパ)
ビタミンカラーのイエローのシャツ。爽やかなブルーのシャツワンピース。そして、ポップでシックなチェックのブラウス。抜けるように晴れた冬の青空の下、永作博美さんが着る早春のコーディネートが、次々とカメラに収まっていきます。その身にまとった色が目に飛び込むたび、ハッとしたり、ホッとしたり。なんだか体に力が湧いてくるから、不思議です。 「色からは、本当に元気をもらえますよね。服もそうですし、食べ物からも。冬なら、山盛りになったみかんやゆずを見ているだけで幸せな気持ちになるし、冬の澄んだ空の下だと、たとえ葉っぱのなくなった木でも美しく見える。これから春になって、新緑の緑を見るのも楽しみだし、そう思うと私たちって、どの季節からも色を通して活力をもらっているんだなぁと……。これまでは、着たいけど自分には似合わないだろうと思っていた色もありましたが、今はいろんな色と仲よくなれている気がする。世の中にある色の全部と自分自身が、年々、馴染んできているように思えるんです」 外出や行動に自粛や自重を求められる日常を送りながら、どうしても内向きになりがちだった私たち。永作さんもこの間、時間を見つけては身辺の整理に励んでいたといいます。 「いわゆる“断捨離(R)(*)”を何度もやったので、家の中はだいぶ片付きました。今まで忙しくてできない、家族がいるから散らかっていてもしょうがないと思っていたのに、『なーんだ、やればできるじゃん!』って(笑)。目の前に隙間ができるとスッキリして気持ちがいいし、何より、心が楽になるんですよね」 しかし、その一方で「結局、整理や片付けはいつまでやっても終わらないものなんだということもはっきりしたような気がします」と永作さん。自身の中で起こった繊細な心の変化を伝えるために、ゆっくりと言葉を探ります。 「ちょっと抽象的なんですが、プラスもマイナスも同じに見えてきた……というか。たとえば、ものについてだと、買うことにも捨てることにも、迎えることにもさよならすることにも、等しく同じエネルギーが必要なんだなと思えてきて。暮らしていくこと、生きていくことに終わりがないのと同じように、整理や片付けにもまた終わりがない。大変だ大変だと言いながらも、続けるという持久力がついてきたというのかな。思わぬ事態になって、この先前に進んでいけるんだろうかという心配もたくさんしましたが、進めないことによって進むこともあるんだなと思えるようになりました」 歳月を重ねて大人になり、さまざまな真理を少しずつ悟るたび、解放されていく心。その変化には「自分の中の『欲』の現象が、すごく大きく作用しているような気がする」と、永作さんは続けます。 「年齢が上がると何が楽になるかというと、欲が減る。そうするとどうなるかというと、目の前のものが愛おしく見えてきて、丁寧に暮らしたくなってくるんだなと。その感じが、もしかしたら今は世の中全体にも広がりつつあるのかもしれないと思っています。誰もが気持ちよく、楽に生きられる方向に変化すればいいのだけれど……」