「選挙には負けるが、大統領はトランプ」~森永卓郎の「アメリカ大統領選」予想
「垣花正 あなたとハッピー!」(11月4日放送)に経済アナリストの森永卓郎が出演。アメリカ大統領選挙の結果について大胆な予想をした。
大統領選挙の行方
アメリカ大統領選挙の投票が日本時間の11月3日夜にスタートしました。関心度が高く、投票率は相当上がるのではないかということですが、その結果が正しく反映されるかどうかは謎です。選挙の行方は予断を許さないというところです。
「バイデン氏有利で株価が上昇」は逆
バイデンさんが勝った場合の財政出動に期待して、株価が上がったという見方がありますが、私は逆だと思っています。歴代のアメリカの大統領を見ると、「共和党政権のときに減税、民主党政権のときに増税、財政引き締め」というのがいままでのパターンです。バイデンさんは、「富裕層は増税する」と明言しています。株式市場は、トランプさんがホワイトハウスに居座ると考えて、株価が上昇したのだと思います。
バイデン候補とトランプ候補の経済対策の違い
アメリカは9月に会計年度が終わります。2020年度の財政赤字は330兆円です。日本のGDPの6割くらいの大赤字を出しています。バイデンさんが大統領になれば、当然、財政引き締めに出ます。景気という面では、1~2年の目先のことだけを考えれば、トランプさんの方がいいでしょう。しかし、長期で考えると、トランプさんは、「石油を積極的に使うぞ」という立場です。ロサンゼルスで森林火災が起きており、環境問題を考えるべきだという見方に対して、「それは管理の問題であって、地球温暖化は存在しない」という考え方です。一方、バイデンさんは石油産業を転換して、パリ協定に復帰して二酸化炭素を出さない社会にすると言っています。このまま二酸化炭素を出し続けると地球は壊れます。
経済状態を無視して株価を上げて来た「トランプ氏のリスク」
もう1つのトランプさんのリスクは、経済実態を無視して株価を上げて来たということです。「バブルは必ず弾ける」というのが経済のこれまでの経験です。弾けたときの痛手は大きいです。弾けるとわかった上で、このままを望むのか、そうではなく現実を見るのか、大きな政策選択となるでしょう。バイデンさんは、みんなの平等、多様性を確保する。そして、パリ協定に復帰すると断言しています。日本も菅総理が2050年にゼロカーボンを目指すと言っていますが、アメリカもバイデンさんが大統領になれば、「二酸化炭素を出さない」と言い出す可能性が高いです。中国も「ガソリン自動車を売らない将来にする」と言っており、電気自動車になるので、産業も大きく変換します。