【核心】「緊急事態宣言をもう少し早く出せれば…」感染研所長が語った3年間 コロナの流行は「今後も継続」
新型コロナウイルスの感染状況を分析する厚生労働省の専門家会議「アドバイザリーボード」。2020年、国内で初めて感染者が確認されて以来、これまで形を変えながら121回開かれ、政府への助言を行ってきた。 「非常に難しい3年間だった」と話すこれまでの対応と、今後の対策の行方を、専門家会議の座長を務めた国立感染症研究所の脇田隆字所長に聞いた。
■向き合った3年間「当初から、完全な封じ込めは難しかった」
―これまでの新型コロナウイルスのアドバイザリーボードを率直に振り返ると 脇田)約3年間で121回開催し、実際にはすごく長くて開催も多かったですけど、あっという間に過ぎたなというのが率直な感想です。ただ、非常に難しい3年間だったと感じています。 ―当初は、完全に封じ込めることを目指した? 脇田)初めから、この感染症を完全に封じ込めるのは、非常に難しいだろうと、専門家の間では評価していました。封じ込めるよりも、むしろ被害をいかにして最小化できるか。最終的な目標は、新型コロナに感染して亡くなる人をできる限り減らしていこうというのが一番大きかったと思います。 ―これだけ長い戦いが続くとは、想定していなかった 脇田)そうですね。これがいつまで続くのか、なかなか想定ができなかったのは事実だと思います。ただ、封じ込めは難しいということがわかっていたので、どのような形で収束するのかも、なかなか想定が難しかった。普通の生活の中で受け入れられるような感染症になっていくのに、何か月、何年かかるのか、どのような形でそのような形になるのか、なかなか見通せなかったです。 ―専門家の中での意見対立や、政府と食い違った点はあったか 脇田)当然、専門家でも疫学の先生、医療の先生、途中から経済の専門家の先生も入ってきて、それぞれの立場で意見が異なるということはしょっちゅうありました。それを最大公約数としてまとめて、意見を政府の政策に取り入れて頂いて、対策に落とし込むという作業だったと思います。