米寿記念山頂で祝福 富山県山岳連盟顧問・木戸さん、山の魅力伝え70年余り
富山県山岳連盟顧問の木戸繁良さん(87)=富山市布市=は米寿記念として新潟県の米山(992メートル)に登り、山頂で登山仲間から祝福を受けた。国内外の名峰登頂から市民登山の指導まで、山に関わり続け70年余り。「山には、遠くからの眺めや写真では分からない素晴らしさがある」とし、多くの人が足を運んでくれることを期待した。 木戸さんの登山人生は、富山工業高校登山部への入部から始まった。1983年には、富山県置県100年と県山岳連盟創立35周年を記念して派遣されたナンガパルバット(8126メートル、パキスタン)登山隊の隊長を務めた。当時、遭難が相次ぎ「魔の山」と呼ばれていたが、同登山隊は日本人初登頂に成功した。北日本新聞社も協力した。 同連盟のほか、県山岳協会や日本山岳会などの役職を歴任。2006年には北日本新聞文化功労賞を受賞した。 幅広い世代への登山普及にも尽力。富山市蜷川、堀川両地区の登山愛好者らでつくる「しろがねスキーと山の会」(大上修会長)で、中高年に登山計画作りの大切さや地図の見方などを指導し、児童の立山登山の引率や冬山のかんじき教室などに携わってきた。大上会長(78)らは「登山の楽しさとリスクの両方を教わった」と感謝する。
今月5日の米寿登山は木戸さんが数えの88歳を迎えたことから、同会が思い出づくりとして企画した。米寿の「米」にちなんで行き先を米山にした。 当日、木戸さんは約1時間半で頂上に到着した。高齢とは思えない時間で登り切ったことから、地元の登山愛好者らが健脚に驚いたという。山頂は人生の節目を祝うように晴れ渡り、佐渡島を望むことができた。木戸さんは「みんなから拍手をもらい、いい気分だった」と笑顔を見せる。 70年余り続ける登山の魅力について「自分の力で、そして周囲の助けを借りながら、一生懸命に目標に向かうところがいい」と語り、そのことを身をもって伝え続けてきた。同会からは早くも、90歳になれば九重山(くじゅうさん)(大分県)を目指そうとの声が上がる。「自分が登り続けることで、他の人が登山に興味を持ってもらえればうれしい」と話した。