統一教会からの“暴露”が怖い? 自民党が「教団との関係を絶つ」と断言できない理由 元信者のジャーナリストが分析
歯切れの悪い議員が脱会を躊躇する信者の姿と重なる
自民党をはじめとする政治家と旧統一教会のつながりが次々に明らかになってきています。旧統一教会の関連団体のイベントに参加して、信者らの前で教団の活動を褒めたたえるような話をする。 【写真】韓国・文在寅、「白髪のひげ面ショット」を披露 意外すぎる姿に“騒然” さらには選挙協力も受けて、教団の組織票の配分まで受けている議員もいるとの話も出てきています。 霊感商法の手立てで物を売り、多額の献金を集めて、家庭崩壊までさせてしまう旧統一教会との関係があることを認めながらも、今後も支援を受けていくかについては「慎重に検討する」「軽々に答えることはできない」との政治家らの発言も出てきています。 ようやくここにきて、世論の批判に押されるように「これまでの関係について、しっかり見直す」との一歩踏み込んだ言葉も聞かれ始めましたが、いまだ、決別するとの言葉は出てきていません。なぜ、きっぱりと「教団との関係を絶ちます」「二度と関わりません。手を切ります!」と言えないのだろうか。そう思われている方も多いかと思います。 ここには、二つの恐怖心で教団の思惑に支配されている恐れがあると思っています。 教団を辞めた元信者の筆者の目には、歯切れの悪い言葉を発する議員らの姿が、どうにも旧統一教会の教えに疑問を持ちながらも、長年、教義にどっぷりはまってしまったために、なかなか脱会しきれない信者らの姿に重なって見えてきてならないのです。
敵に回すと恐ろしい宗教団体
教団の信者らが受けるマインドコントロールの本質の一つに「地獄に行く」など、気づかぬうちに恐怖心を植え付けられ、行動を支配されることがあります。もしかすると、議員らは知らないうちに二つの恐怖心を旧統一教会に抱かされて、毅然とした態度が取れないの可能性があります。 一つは、敵に回すと恐ろしい宗教団体という恐怖心です。 旧統一教会では自分たちに味方しない人たちや、批判する側の人たちを「サタン」と呼び、徹底した組織的攻撃を仕掛けてくることで知られています。すでに批判的な報道をするテレビ局や弁護士らへの抗議電話などの行為をしていることは明らかになっており、自分自身も元信者として、テレビ局に抗議の電話をするように指示させられた経験もあります。 もし旧統一教会の側についておかないと、選挙においてどんな組織的な妨害工作を受けるかわからない恐怖心があるために、「関係を絶つ」と明確にいえないことが考えられます。 しかしこれだけではありません。二つ目の恐怖心こそ、もっと怖いものです。少し長くなりますが、その二つ目の恐怖心が一体何なのか、じっくり見ていきます。 教団の政治家へのアプローチは、旧統一教会が目指す神の国実現のための布教活動です。 信者らは教義に基づいて常に行動しています。その柱が、伝道(信者獲得活動)と万物復帰です。万物復帰とは、人類始祖であるアダムとエバが罪を犯してしまい、堕落して万物以下になってしまった。そのために、この世にあるすべての物を神様の前に捧げていかなければならない。ゆえに、多額の献金や教団の関連商品を購入するようにいわれます。 信者らは、この2つを両輪に活動しています。 こうしたことから、教団の関連組織が政治家に行っている選挙ボランティアや議員らを呼び込むイベントもこうした布教活動の一環として捉えるべきです。 信者らは上から与えられた命令は神様の言葉と思っていますので、必死にその使命を果たそうと活動します。ゆえに、彼らは手を抜くことをせずに、その人物のために必死になって働きます。その熱心な活動を見た議員らは感動することでしょう。 中にいた頃、教団の集会に訪れた議員の話や、幹部からの「選挙応援を受けた人たちは、本当に教会員の人たちの活動に感動している。それで統一原理が本当に素晴らしい教えだと思ってくれている」という言葉も聞いています。当時、それを聞き、日本の政治家が統一教会の教えを受け入れており、政治と宗教が一つになる神の国の実現の日も近いという希望を抱いたものです。