「夫との通話を録音していた」倉田真由美さん 聞いて思い出に浸るも「当時の自分の態度に怒りすら湧いた」と語る理由
倉田真由美さんの夫、叶井俊太郎さん(享年56)が、初めてすい臓がんと診断されたのは2022年6月のことだった。「もって1年」余命宣告を超えて2024年2月に旅立つまで、夫とかわした会話は大切な思い出だ。あるとき、夫の思い出に浸っていたら――。 【画像】「夫の面影がある」と倉田さんが語る叶井俊太郎さんの幼少期のモノクロ写真
執筆・イラスト/倉田真由美さん
漫画家。2児の母。“くらたま”の愛称で多くのメディアでコメンテーターとしても活躍中。一橋大学卒業後『だめんず・うぉ~か~』で脚光を浴び、多くの雑誌やメディアで漫画やエッセイを手がける。お笑い芸人マッハスピード豪速球のさかまきさん原作の介護がテーマの漫画『お尻ふきます!!』(KADOKAWA)ほか著書多数。 夫の叶井俊太郎さんとのエピソードを描いたコミック は現在Amazonで無料で公開中。
夫の思い出に浸る
一日のうち、どこかで夫の思い出に浸る時間をとっています。その時、よすがになるのが動画や写真、録音など夫自身を直接感じさせてくれるものです。 これは人にもよるようです。つらくて故人に関わるものをなかなか見たり聞いたりすることができないという人もいます。私は夫がいなくなった直後から、夫との思い出に逃げ込むタイプでした。すぐに、何かに触れたくなってしまいます。 その中で、動画、写真とはまた違う臨場感をもたらしてくれるのが電話通話の録音です。まるで、スマホの向こうに夫がいるみたいな感覚になることがあります。 そう、こうやって話していたな。 この話題、覚えてる。 夫とは電話で通話することも多かったので、かなりの数が溜まっています。録音を始めたのは’22年からですが、当初は慣れずに取り漏らした会話も沢山あって、ほとんどが’23年のものになります。’23年はがん発覚から時間も経ち、徐々に体調不良の日も増えていった一年。録音された会話を聞くと、後半になるほどダルさや腹痛など夫の不調の話題が増えています。 当然すべてが私との会話なので、夫の声だけではなく私の声も入っています。聞いていると、心穏やかに聞けない会話に出会うことがあり、そういう時は自己嫌悪に頭を抱えたくなります。 どういう会話かというと…。