スマホの健康管理機能が進化している、FCNTは新機種
スマートフォンに搭載する健康管理機能が進化している。中でもFCNT(神奈川県大和市、田中典尚社長)は、自律神経の活性度合いをセンサーで測定できるスマホを新製品として投入した。さらに、ウエアラブル端末を通じた健康支援に注力するスマホメーカーも存在する。健康管理の多様化は競合他社との差別化にもつながることから、各メーカーの健康支援に対する取り組みは今後も続きそうだ。(阿部未沙子) 【写真】AIスマホ自動買取機 FCNTプロダクトビジネス本部の外谷一磨副本部長は「健康管理に非常に高い関心を持つ層がいる」と認識する。FCNTは自律神経の活性度を算出する機能を8月に発売した機種「アローズ ウィーツー プラス」に搭載しており、今後の新製品への横展開も視野に入れる。 背面にあるカメラの下にセンサーを配置した。センサーに人さし指を約2分、押し当てて計測する。記者の指で計測したところ交感神経が優位となり、気分転換を勧められた。 FCNTは2023年9月末に中国レノボグループの傘下に入った。外谷副本部長は「一芸には秀でているものの、基礎体力が弱かった」と傘下に入る前のFCNTを振り返る。ただ今回の自律神経を測る機能は約2年間かけて開発してきたといい「『一芸』といえる部分かもしれない」(外谷氏)とした。 従来、スマホメーカーは利用者の健康支援を重視してきた。MM総研(東京都港区)の横田英明取締役副所長は携帯電話端末への健康管理機能の本格搭載について「08年にメタボリック症候群に着目した特定健診が始まり健康に注目が集まったことに併せ、端末にも体脂肪率の測定などの機能が搭載され始めた」と指摘する。 スマホメーカーは、ウエアラブル端末を通じた健康管理にも力を注いでいる。例えば米アップルの腕時計型端末「アップルウォッチ」では睡眠の質や心拍数などを記録できるほか、韓国サムスン電子の指輪型端末「ギャラクシーリング」では睡眠中の動きや心拍数、呼吸数などを計測できる。両製品ともにスマホと連携した健康管理が強みだ。 MM総研の横田取締役副所長はFCNTについて「過去から健康にひときわ着目してきたメーカー」と評する。FCNTの外谷副本部長は自律神経の活性度を算出する独自機能について「他のメーカーと異なるアプローチ」と語り、差別化につなげる。また、新たなセンサーの搭載といったハードウエアの変化は部品サプライヤーにも影響を与えそうだ。