「ルメールマジック」で藤沢和雄厩舎に初の栄冠 2017年日本ダービー馬・レイデオロ
日本ダービーまであと5日
2022年の日本ダービーまで残り5日。連載で過去10年の日本ダービーを一戦ずつ振り返っていく。 【日本ダービー 2022予想】ドウデュースで武豊6勝目へ視界良好! ハーツクライ産駒2頭がアツい!(SPAIA編)
ルメール騎手の見事な判断
関東のトップトレーナーとして長く君臨し続けた藤沢和雄調教師。「一勝より一生」のフレーズに象徴される手法で、馬に無理をさせない、成長曲線に合わせたレース起用をすることでも知られていた。そのため、3歳春のクラシックにはなかなか縁がなく、初のダービー制覇は65歳の時だった。 2017年日本ダービー、1番人気は青葉賞馬アドミラブル。新馬戦大敗後、ノドの手術を乗り越えて才能が開花。一方的な内容で3連勝を挙げ、この大一番に間に合わせていた。2番人気は皐月賞5着のレイデオロ、3番人気は同6着のスワーヴリチャード。波乱に終わった皐月賞の上位は先行タイプ、中山向きと見られたか、4番人気以下に留まった。 逃げ候補と目されたクリンチャーはダッシュがつかず、ハナはマイスタイル。鞍上は横山典弘騎手。スワーヴリチャードが内枠からインの7番手、レイデオロは13番手で初角を通過。大外枠のアドミラブルは後方の15番手から。 逃げた横山典弘は、虎視眈々と一発を狙っていた。ハナに立った後はがっちりとペースを落とし、1000m通過63.2秒は超スロー。物理的に進路がない人馬、わざわざつついてペースを上げたくない好位勢。思惑はそれぞれだが、金縛りのように向正面を進む。 そんな中、外からスーっと上がっていったのがレイデオロ、クリストフ・ルメール騎手。他馬を一気に交わして2番手に浮上すると、そこで一度息を入れなおす。後半のラップは12.6-12.7-11.5-10.9-11.4。いわゆる“よーいドン”の競馬。 内枠で道中はスローに苦慮しながらもなんとか外へ切り返したスワーヴリチャード、めいっぱい脚を溜めたアドミラブル。直線で先に抜け出したレイデオロに対して遅ればせ、猛然と追い上げるが、この展開では前も止まらない。結果的には向正面で作ったアドバンテージが決め手となり、レイデオロが先頭でゴールを駆け抜けた。一世一代の大舞台で「マクり」という勇気ある戦法を遂行し、成功させた、まさに“ルメールマジック”がもたらした勝利であった。 そして、この特殊な展開を作り出したマイスタイルは14番人気であわやの4着。勝ち時計は2000年以降の良馬場では最も遅いものだったが、単なるタイムトライアルではない「競馬」だからこその怖さと面白さが凝縮された2分26秒9だった。 2017年日本ダービー・全着順 1着 レイデオロ ルメール 2.26.9 2着 スワーヴリチャード 四位洋文 3着 アドミラブル M.デムーロ 4着 マイスタイル 横山典弘 5着 アルアイン 松山弘平 6着 ダンビュライト 武豊 7着 ペルシアンナイト 戸崎圭太 8着 トラスト 丹内祐次 9着 ベストアプローチ 岩田康誠 10着 サトノアーサー 川田将雅 11着 カデナ 福永祐一 12着 キョウヘイ 高倉稜 13着 クリンチャー 藤岡佑介 14着 ダイワキャグニー 北村宏司 15着 ウインブライト 松岡正海 16着 マイネルスフェーン 柴田大知 17着 アメリカズカップ 松若風馬 18着 ジョーストリクトリ 内田博幸
SPAIA編集部