【17世紀の哲学者が解説】意見が対立したときに「他人の欠点ばかり指摘する人」は幸せになれない理由
人も同じだ。良いところに目がいく人もいれば、悪いところに目がいく人もいる。 良いところがたくさんあるのに、そこからたったひとつの欠陥を見つけだす天才も中にはいて、その欠陥をあげつらう。何とも情けないこの人たちは、そのまずい選択をした罰を受けているのだ。欠点を探し回るのではなく、どんなことにも良いことのかけらを見いだせるほうが幸せなのに。 どれほど不運であっても、その中にまばゆく光る幸運をひとつ見つけよう。たまたまそこにあっただけだとしても、その幸運に着目するのだ。正しい判断と選択をしたことで必ず報われる。 ● 真実を見抜く知恵5 理性を失わない 興奮のあまり筋道立てて考えられなくなり、危険な状態に陥ってしまうことがある。ほんの一瞬かっとなっただけで、後悔の日々が続くことになる。感情的になって犯した過ちを正すのに一生かかるかもしれない。 こういうとき、相手がこちらの弱みに気づき、そこを突いて理性を失わせようとするかもしれない。だから、そういう事態から身を守るための自己抑制が不可欠だ。軽い気持ちで口にした言葉も、受けとめた人にはとても重くのしかかることがあることを忘れないように。
バルタザール・グラシアン/齋藤慎子