フィギュアGPファイナルでネイサン・チェンとの一騎討ちに挑む羽生結弦に死角はあるのか?
フィギュアスケートのGPファイナルが現地時間5日(日本時間6日朝)、イタリア・トリノで開幕する。注目は、3年ぶりに出場する羽生結弦(24、ANA)が通算5度目の優勝を果たすかどうか。ライバルは3連覇を狙う歴代世界最高得点保持者のネイサン・チェン(20、米国)。勝敗を分けるのはどこか、羽生に死角はないのか。
過去対戦成績は羽生の4勝3敗
宿命のライバル対決が近づいてきた。イタリア、トリノ、選ばれし6人が競うGPファイナルの舞台。男子シングルの優勝争いは、羽生とチェンの一騎討ちの様相である。 両者の過去の対決は2016年のNHK杯から始まって7度。羽生の4勝3敗だが、フリーの滑走時間が短縮され、ジャンプ数が8本から7本になった新ルールでの対決は、今年3月の世界選手権一度だけで羽生が敗れている。試合後、「ノーミスでも勝てなかった」と、羽生は言い訳をしなかった。だが、このとき、右足首に故障を抱えており、コンディションは万全ではなかった。 その故障不安を一掃してスケートカナダ、NHK杯と連勝して挑む今回のGPファイナルは“真の対決“と言えるだろう。 羽生自身も、NHK杯後に、「ファイナルはネイサン選手との戦いとしか思っていない。やっぱり勝ちたい。勝つことに意味がある」と、チェンへのライバル意識、そして3年ぶりの出場となるGPファイナル優勝への意欲を隠さなかった。 では羽生が勝つための焦点はどこになるのか? 「演技・完成度の羽生」、「技術・4回転のチェン」と呼ばれてきた対決の基本構図は、変わらない。ここまで2試合のGPシリーズの演技構成点を比較すると、まずSPでは、羽生が48.47(スケートカナダ)、48.11(NHK杯)と48点台をコンスタントにキープしているが、チェンは46.50(スケートアメリカ)、46.51(フランス杯)と46点台。フリーを見てみると、羽生が96.40、94.14で、チェンが94.00、92.58と演技構成点では、最大で4点ちかく羽生がリードしている。 ジャンプの前後に組み込んでいるステップの工夫などエレメンツをつなぐ細かな技術が演技構成点に反映され、そこに羽生が持つオーラ、エレガンスさ、そして音を拾う芸術性がプラスされ、一部のジャッジの間からは「ぞくっとする」という声が漏れるほどの完成度の高さが羽生にはある。 ただ、チェンもターンやつなぎの部分での細かい技術が磨かれており決して羽生に劣らない。この部分のチェンの成長が、これまでの2人の対決構図からの若干の変化となる。