〝事件は現場で起きてるけど…〟令和の刑事ドラマ「大川と小川の休日捜査」が面白い【ゆるい】【往年の2時間ドラマ】【孤独じゃないグルメ】
◆音みかんの「エンタメ」ワクドキWACTHING ドラマ、映画、アニメ好き。「三度の飯より…」とは言い切れない食いしん坊・音みかんが個人の趣味に〝全フリ〟したチョイスで昔の名作から最新作までエンタメ作品を不定期で語ります。#エンタメQ ■「大好き松重先輩と、ゆるーく捜査します」【写真】 2022年のスペシャルドラマ「大川と小川の時短捜査」のシリーズ2作目「大川と小川の休日捜査」が9月30日に放送された。松重豊と濱田岳がW主演を務めた刑事ものだ。その2日前には、同じ刑事ドラマ「踊る大捜査線」(フジテレビ、1997年)の映画版「踊る大捜査線THE MOVIE」(1998年)がフジテレビで放送され、織田裕二演じる青島俊作の名セリフ「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きてるんだ!」が話題となり、警察庁警備局長役で出演した大和田伸也は、自身の役柄に置き換え「事件は現場で起きてるけど 私は会議室にいます」とSNSに投稿しファンを喜ばせた。この台詞を「大川と小川の休日捜査」になぞらえるとこうなる。〝事件は現場で起きてるけど、キャンプ場にいます〟―。
■刑事ドラマなのにとにかく〝ゆるい〟
〈以降、一部ネタバレあり。ご了承の上、お読みください。〉 労働時間の短縮を啓発する元・刑事で、現在は警務課係長の大川勇治(松重豊)が体育会系のノリになじめない刑事・小川満(濱田岳)を〝休みをとろうキャンペーン〟の広報誌作成のためにキャンプ場へ連れ出す所から物語は始まる。濱田が自身のインスタグラムで「ゆるーいです。大好き松重先輩と、ゆるーく捜査します」と紹介した通り、出だしから〝ゆるい〟。タイトルロゴも可愛らしく、松重と濱田が醸し出すほのぼの感と音楽が今から「孤独のグルメ」(2012年~、テレビ東京)や「釣りバカ日誌」(2015年~、テレビ東京)が始まるのか?と思わせるほど。
◆〝パワハラ〟顔芸写真が面白い
それなのに唐突に、腹を刺された男が追われる画面が! 刑事ドラマではお馴染みのシーンだがギャップがすごい。班長(橋本じゅん)から殺人事件の一報が小川の元へ届き、ようやく捜査が始まるのかと思いきや―。「キャンプです。いやぁ、すぐにはちょっと」とまさかの臨場お断り。そのままキャンプを続ける小川に、班長から催促LINEが連投される。班長の顔入り事件現場写真の連発はとんでもない〝パワハラ〟なのだが顔芸も素晴らしく大変面白い。 ちなみに中堅の小川にはガンガンいける班長だが、若い新人刑事の質問には強くいけず言葉短めで答えるシーンは今時の上司をよく表しており、「結婚できない男」(2006年、フジテレビ)の脚本を務めた尾崎将也らしい仕上がり。時代をキャッチした濃厚キャラクター達によるギャグ満載の冒頭は〝現場にいない〟大川と小川も、そして視聴者も自然と事件内容を知っていく流れになっていて秀逸だった。