インタビュー:ジェイソン・マロニー 「ベストに勝った者だけがベストになる」
11月1日(現地時間10月31日)、アメリカ・ネバダ州ラスベガスで、井上尚弥(大橋)に挑戦するジェイソン・マロニー(オーストラリア)は10月上旬には早くも現地入りし、準備を進めている。そのマロニーを直撃インタビューした。ボクシング・マガジン11月号に掲載されたものだが、誌面の都合もあり、大幅にカットされている。今回はほぼ全文を掲載した。カットされていた経歴などの部分も大幅に復元している。インタビュアーはニューヨーク在住の杉浦大介記者。メジャーリーグの取材先フロリダからベガスに飛んでもらった。 【ボクシング】オールタイム最強は誰? 仮想トーナメント、ついに完結!
試合までには完ぺきに仕上げる
――10月2日に渡米し、MGMグランドから車で10分ほどの場所にトップランクが借りたこの家で井上尚弥戦までの時間を過ごすと聞いています。あと1ヵ月弱はどんな日常になるのでしょう? マロニー 試合当日に完璧な状態で臨めるように準備していくつもりです。井上との試合は米東部時間でだいたい夜8時ごろからなので、毎日、夜8時にトレーニングします。そうやって私の体内時計を合わせ、試合当日の夜8時に疲れや眠気を感じないようにするんです。食事、昼寝などもその時間に合わせ、体を作っていきます。練習は1日に2度。朝はランニング、水泳、コンディション調整、夜はスパーリングを軸にしたボクシングのトレーニングになります。スパーリングは火、木、土曜と週3回。それぞれタイプが違い、それでいて井上のスタイルを模倣できるスパーリングパートナーを準備してもらいました。 ――試合開始時間を軸に体内時計を合わせるという作業は、6月にラスベガスで行った前戦(レオナルド・バエズ戦)でも行ったんでしょうか? マロニー 前の試合の際も4~5週間前にラスベガス入りし、同じことをやり、おかげでコンディションは素晴らしいものに仕上がりました。今回もそうするつもりです。 ――今回のスパーリングパートナーの名前を教えていただけますか? マロニー ひとりはフィラデルフィアから招待し、明日(10月4日)到着します。あとはすでにキャンプに同行してくれているチリ人のアンドレス・カンポス(9戦9勝2KO)、オーストラリア人のベガス・ラーフィールド(2戦2勝)。彼らはともに井上と身長がほとんど同じです。それと同時に、彼らには井上のフィルムをよく見るようにと話しています。スパーリングでも井上の動き、スタイルを真似してもらい、可能な限り必要な練習が詰めるようにしていくつもりです。 ――最終的にどのくらいの量のスパーを行う予定ですか? マロニー それはトレーナーのアンジェロ・ハイダー次第です。彼が私のコンディションを見極めながら必要な量を準備してくれます。好調な日には12ラウンドやるかもしれませんし、疲れが見えたり、短い時間をハイペースで戦うのが適切だと思ったら、その日のラウンドは少なくなるでしょう。体調、調子次第で、8、10、12ラウンドとラウンド数は変わってきます。アンジェロは僕の調整を上手にやってくれるので、これまで試合当日はいつでもベスト状態でリングに立ててきました。今回もキャリア最高のコンディションが作れるはずです。 ――井上に勝つために、これから自分の戦力のどこを高めていかなければいけないと考えていますか? マロニー 自分がベストの状態であればバンタム級の誰にでも勝てると信じています。もちろんこの試合が究極のチャレンジであることは理解しています。勝つためには、これまでで最高のパフォーマンスが必要。ミスは最小限にし、試合をコントロールしていく必要があります。だから、どこを鍛えるというより、とにかく最高の自分を作っていくこと。それができれば勝てるという自信はあります。