スマイルスポーツ・アスリートインタビュー 【レスリング】川井梨紗子が語る東京2020オリンピック 「自分の力を出し切れば乗り越えられないものはない」
日本のお家芸とも呼べる女子レスリングのエースとして、オリンピック連覇の期待がかかる川井梨紗子選手。大きな注目を集めた伊調馨選手との代表争いを制して切符をつかんだ東京2020オリンピックが延期となり、どんな時間を過ごしていたのか? 伊調選手との激闘、そして2度目のオリンピックへの想いをスポーツ情報マガジン『スマイルスポーツVol.83』で語ってくれた。ここではその一部を紹介する。※取材は2020年6月26日にオンラインにて行いました。
――東京2020オリンピックの延期が決定した時はどんなお気持ちでしたか? 「新型コロナウイルスのニュースを見ていて、ある程度は予想していたので、決定した時は『やっぱりな』という感じでした。ここから1年さらに辛い練習をするのかという不安もありましたが、意外と冷静に受け止めている自分もいました」 ――気持ちはすぐに2021年に切り替えられたわけですね。 「決まってしまったことはどうにもできないので、ここからどう過ごすかのほうが大事だと思っています」 ――新型コロナウイルスの影響による競技活動の自粛期間中は、ご自身にとってどんな時間でしたか? 「普段は当たり前だと思っていたことのありがたみを知る時間だったかもしれません。みんなと練習できることもそうですし、いつもは食事を作ってくれる方がいるのですが、自粛中はそれもありませんでした。当たり前に思っていたサポートのありがたさをより実感した期間になったと思います」 ――自粛期間中は、どのようなトレーニングをされていましたか? 「トレーニングをする場所もなく、家の中で音を立てることもできないので、静かにできるトレーニングはないかと探していたところ、ヨガやピラティスを見つけました。これらのトレーニングは運動量が減ると最初に落ちると言われる柔軟性を高めることができるので、練習再開時にケガをしないためのトレーニングとして始めました。実際に取り組んだことで、体が少し柔らかくなったような気がします」 ――スパーリングや技術練習など、対人の練習ができなくなることへの不安はありませんでしたか? 「少し不安になることはありましたが、父から『レスリングの技術力は変わらないから大丈夫』とアドバイスをもらっていたので、そこはあまり気にしないようにしていました。それよりも、心肺機能や筋力面をどれだけ維持していけるかを考えて、できることをやっていました」