やっぱり永遠はないじゃないですか――EXILE HIROが語るコロナ禍334公演中止の乗り越え方、そして「引き際」
自分がいなくなっても大丈夫なLDHを作る
2020年11月、EXILEの「顔役」でもあったEXILE ATSUSHIの卒業が発表された。40代に突入したことを機に、ソロでの海外活動を視野に入れていくという。 「ATSUSHIがまだ20代の頃からずっと一緒にいますし、僕も経験してきたことなので、40歳で最後のチャンスをつかもうとするのも、自然だしすごく理解しています。ATSUSHIは、会社やグループに対しての責任を常に感じていたし、それが重荷になっていた部分もあったけど、彼自身の成長には欠かせないものでもあって、やっとATSUSHIが肩の荷を下ろせるタイミングが来たな、と。ラストライブができなかったのはすごく残念なんですけど、ATSUSHIはソロでもEXILEの歌を歌い続けていくだろうし、どこかのタイミングでまたEXILEに合流することもあるかもしれません。それがEXILE TRIBEのEXILEのあり方なので、いいほうにしかいかないイメージがあるんです。常にメンバーが夢に向かってやりたいことに挑戦できる環境を作ることが自分の役目なのかなと思っています」 この日の取材の最後、一冊のノートをHIROから手渡された。「LDH学習帳」と題された、「ジャポニカ学習帳」のパロディーだ。HIROが50歳の誕生日に、LDHのメンバーにだけ配ったものだという。そこには、業界で生き抜くための実践的なノウハウが記されている。 「どんどん譲るところは譲って、僕はまた違う立ち位置に行くのがLDHなのかなって。自分が60歳になって、LDHで今のような働き方をしているのは少し違うのかなと(笑)。どんどんチームを進化させて、全員で助け合えるようなLDHにしていけたらいいなと思っているんです。自分がいなくなっても大丈夫なLDHを作るのが、自分のこれから5年、10年の仕事。それを一生懸命やりたいなと思いますね」
EXILE HIRO(えぐざいる・ひろ) 神奈川県出身。1990年にZOOのメンバーとしてデビュー。1999年J Soul Brothersを結成し、2001年EXILEと改名して再始動。パフォーマー兼リーダーとして、EXILEを国民的グループに押し上げる。2013年パフォーマーを勇退。2015年12月には芸術文化活動などで優れた功績を挙げた人に贈られる、文化庁長官表彰を、ダンスパフォーマンスとボーカルを巧みに組み合わせ活動のほか、プロデューサーとしての活躍も評価され、日本の芸術文化の振興に貢献しているとして表彰を受ける。2017年からLDH新体制においてLDH WORLDのチーフ・クリエイティブ・オフィサーとしてクリエイティブを統括し、世界の拠点と連携し世界基準でのエンタテインメント創造に心血を注いでいる。