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「“毒イチゴ農家”ってネットに書かれたことも…」“イチエフ”の町・大熊で生きることを決めた人たち

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ABEMA TIMES

 佐藤さんは今、大川原地区の今を伝える新聞づくりに取り組んでいる。町に住んでいるからこそわかるリアルな情報を町の外に住んでいる人にも伝えることで、人々とふるさとをつなぐ役割を果たしている。「大川原に住んでいる町民でも住んでいない町民でも、興味を持ってもらえたり、ささいなきっかけでいいので、改めて自分の町の、故郷を思い出すきっかけになればいいなと思っています」。

■放射能検査をきちんとやっているので、それを信じてもらうしかない

 イチゴの初出荷を控えた去年7月。横川さんが働く工場は思わぬトラブルに直面していた。青々としていたはずの苗は萎れ、次々と袋に入れられて、8トンすべてが処分された。原因はイチゴには禁止されている農薬を使ってしまったことだ。従業員のイチゴ栽培の経験不足が表れてしまった格好だ。  トラブルの後、急いで新しい苗を植え直し、ようやく出荷できたのは、8月のことだった。最初に実ったのは、夏に収穫されるイチゴ「すずあかね」だ。甘味よりも酸味が強く、ケーキやジャムなどに加工される業務用のイチゴだ。真っ赤な実がなった時は、目に涙を浮かべて喜ぶ従業員もいたという。

 式典で福島県の内堀雅雄知事は「並々ならぬ熱意を、情熱をもって取り組んでこられましたその思いが形となって今日を迎えられましたことは、大熊町の復興に向けた、大きな大きな一歩であります」と挨拶。ネクサスファームおおくまの徳田辰吾工場長も「たくさんの方のお力添えをいただいてきょうを迎えられたことを本当にうれしく思っております。最初の一歩ではありますけど、やっていてよかったなという気持ちになりました」と感慨深げに語った。  工場で作ったイチゴは全て放射性物質の検査を行い、安全性を確認してから出荷している。土や苗も町の外の物を使うなど、放射能の問題については細心の注意を払っており、今まで一度も基準を超えたイチゴは出ていない。しかし大熊町のイチゴが初めて出荷されたことが報じられると、「放射能のイチゴか」や「汚染されたイチゴ」などインターネットでは心無い言葉が飛び交った。「“毒イチゴ農家”ってネットに書かれて、みんなで大笑いした覚えがありますからね。朝の挨拶が“おう、毒イチゴ農家!”って感じだったんですよ」と複雑な表情の横川さん。「うちの方としては放射能検査をきちんとやっているので、それを信じてもらうしかないですね。言う人はどうしても言うでしょうから、信じて手に取って買ってくれる人だけを相手にするというか」。

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