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球界初の女性スカウトが明かす五輪秘話 ソフトボール金「あのシーン」は打ち合わせだった

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西日本スポーツ

 1年後に延期された東京五輪で活躍が期待されるソフトボール女子。金メダルを獲得した2008年北京五輪で、エース上野由岐子(37)とバッテリーを組んだ捕手が思いを語った。今年からプロ野球のオリックスのスカウトに就任した乾絵美さん(36)は電話インタビューで1学年上の上野との思い出を回顧。日本代表へのエールも送った。 【写真】オリックスのスカウトに就任した乾絵美さん

■鉄腕に観察眼も鍛えられる

 仲間に肩車をされたエース上野が、右手を天に突き上げる。2008年北京五輪決勝で日本が米国を破り、金メダルを獲得した直後のワンシーンだ。この時上野を担いでいたのが、乾さんだ。当日の午前中に、上野とともに考えたという。  「『優勝したら、上野さんにカメラが集まるね』と話していて、(治療していた)トレーナーの先生も『目立つことをしよう』と提案してくれた。それで『肩車が目立つのでは』という話になったと思います」  同五輪を象徴するシーンの「主役」の一人は「(写真や映像などで)今でも出させてもらえるので、ありがたいですね」と笑う。1学年上の上野との出会いは03年春。日立&ルネサス高崎に加入して間もない頃の合宿だったと記憶している。  上野は同じ場所で日本代表として合宿しており、捕手の乾さんに球を受ける機会が訪れた。「軽く」と言われた剛速球はミットにかすりもしなかった。速すぎて、キャッチできなかった衝撃は今でも鮮明だ。  引退した09年まで所属チームでもバッテリーを組み、向上心あふれる鉄腕とともに成長。技術だけでなく、捕手としての観察眼なども鍛えられた。「上野さんが引っ張ってくださったと感じている。感謝している」。その最高の到達点が「北京での肩車」だった。  現役引退後はプロ野球のオリックスで勤務。昨年末にスカウト就任を打診された。「オリックス大丈夫? と思いました(笑)」。真っ先に相談したのは、現役時代の恩師だった日本ソフトボール協会の宇津木妙子副会長と、日本代表の宇津木麗華監督だった。  「宇津木さんの下でやらせてもらい、上野さんとバッテリーを組ませてもらったことが一番大きかったと思う」。2人から背中を押されたことで決断し、上野にも報告した。球界初となる女性スカウトの誕生だった。  新型コロナウイルス感染拡大の影響で“デビュー戦”だったはずの春の選抜高校野球大会、さらに夏の甲子園も中止となった。視察もできず、本格的なスカウト活動はまだ開始できていない。現在はインターネットで注目選手の動画を確認するなど、可能な限りの準備を続けている。  東京五輪で3大会ぶりに復活するソフトボールと野球。「もちろん金メダルを目指してやっていると思うけど、そんなに思い詰めないでやってほしい」。かつてのチームメートや後輩たちを思いやりながら、乾さんも新たな道を歩んでいる。 (伊藤瀬里加)

西日本スポーツ

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