将棋界と不二家の長い付き合い ベテラン島朗九段が回想「対局者におやつを配るおばさまがいた」「記録係も棋士の後なら食べてよかった」
将棋の叡王戦五番勝負は、藤井聡太叡王(竜王、王位、王将、棋聖、19)が挑戦者の出口若武六段(27)を3勝0敗のストレートで下し、初の叡王位防衛、タイトル戦での連勝記録を羽生善治九段(51)に並ぶ「13」まで伸ばした。タイトルをかけた番勝負は挑戦5回・防衛3回と、計8回全てでタイトルを手にするという圧巻の成績だ。叡王戦は昨期から菓子メーカーの不二家が主催になり、対局者には予選から番勝負まで通じて、栄養補給として同社のお菓子が提供されている。ベテラン島朗九段(59)も、5月24日の第3局では現地に向かい、対局者と同じおやつに舌鼓を打つことになったが、味わいながら思い出されたのが、まだ棋士になる前、奨励会員だった頃。「中継が入る前、昔の時代から甘いものはみなさん食べていた。おやつが対局に出ていたんです」と、不二家にも関連するエピソードを紹介した。 【動画】将棋界のおやつについて語る島朗九段 将棋の対局では昼食、長時間対局であれば夕食を食べる他、対局者によってはチョコレート、ゼリーといったお菓子から、バナナなどの果物を注文、もしくは自分で持ち込むことがある。またタイトル戦では各地の対局場で、名産のお菓子などが午前、午後と2回に分けて提供されるケースも多い。藤井叡王と出口六段が戦った叡王戦では、主催の不二家からいつでも食べられるお菓子、2回のおやつとしてケーキなどが出された。 叡王戦を除く対局では、自分で注文するか持ち込まなければ、おやつを食べることもないが、島九段によれば「昔はおやつが対局に出ていた」という。「おやつを配ってくださるおばさまがいたんですよ。みかんとかおせんべいとかチョコレートとか。お盆の上にあって、対局者が手を伸ばすんです。対局者が食べた後なら、記録係も食べていい。それが楽しみでね」。記録係は、まだプロになっていない奨励会の若者、少年が務める。目の前で先輩棋士の対局を見られることが勉強にもなるが、おやつのご褒美はうれしいものだ。島九段の修行時代ともなれば、今から40年以上も前の話になるが「そのころから不二家さんの製品がありましたね。ガムとかよりも、口を動かさないで食べられるもの、チョコレートとかは普遍のもの。特に夜とか疲れてくるととても必要です。時代を超えて対局にはいいものじゃないかと思います」と語った。不二家は創業112年目。これまでにも数多くの棋士たちが栄養補給のため、またホッと一息つくためにお菓子を口に入れてきたことだろう。 (ABEMA/将棋チャンネルより)