プラズマ表面処理…大気圧で撥水・接着性向上、魁半導体が新技術
魁半導体(京都市下京区、田口貢士社長)は、大気圧プラズマ処理で従来は難しかった対象物表面の撥水性向上や接着性強化が行える新技術を開発した。真空プラズマ処理と違って真空設備が不要で大型品や複雑形状品などの処理が容易となり、ウェット(薬液)処理と比べて高い効果が得られる。大気圧プラズマ処理の用途を広げる新技術として、自動車や電機、電子部品などの市場ニーズに応えて開発した。まずは月内に受託加工の形で顧客提案を始める。 新技術の名称は、自己組織化する集積分子構造体の英語表記の各単語の頭文字から「SAIMOS」と名付けた。 真空設備不要の開放空間で処理ができて使い勝手が良く、生産ラインに組み込んだ連続処理も可能。多数のガラス容器処理の場合、バッチ単位の真空プラズマ処理と比べて処理コストは6割ほど抑制でき、ウェット処理と違って廃液処理が不要で環境負荷も少ない。 真空処理がオーバースペックだったり、一定の表面処理を開放空間で行いたいニーズに応え、受託加工を受け付ける。装置価格も真空タイプより低減できる見込みで、新技術を用いた装置販売も計画する。 気化した試薬原料とプラズマガスを混合部という場所で混ぜて反応させ、対象物に照射する。 この反応時間を工夫し、対象物表面の撥水性向上や接着性強化といった機能付与には不要な分子を飛ばす仕組みにすることで、大気圧プラズマ処理の用途拡大を実現した。 従来の一般的な大気圧プラズマ処理は、空気中の酸素の影響を受けやすく、親水化や酸化、洗浄などに用途が限られていた。