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MALICE MIZER、メジャー唯一のアルバム『merveilles』でも魅せた強烈な個性

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OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!』のアーカイブス。今回はMALICE MIZERのメジャー唯一のアルバム『merveilles』を紹介する。2000年代までは隆盛を誇ったカテゴリであるものの、正直言って最近では停滞感が漂っていることも否めない“ビジュアル系”。まぁ、今までも揶揄の対象となることは少なくなく、「音楽性が希薄すぎる」「歌も演奏が下手」「あんなの全然ロックじゃねぇ」等々、結構なセールス、ライヴ動員があった頃も散々な言われ方を耳にしたことがある。反論しづらい面もある。だが、この日本固有の音楽カテゴリーをこのままフェードアウトさせるのも残念なことではあると思う。とりわけ、男性が美麗な女性と見紛うように変身する様子は、歌舞伎や大衆演劇にも通じる様式美であり、日本が世界に誇れる文化でもあろう。個人的には、あのビジュアルには少女歌劇に対する若干倒錯した憧憬を感じられなくもなく、悪し様に否定してはいけないような気にもなる。音楽を超越した演芸ジャンルとして続いていってほしいと思う。というわけで、今回はそのビジュアル系の代表格、MALICE MIZERを取り上げたいと思う。 ※本稿は2016年に掲載

観せ方に対する徹底したこだわり

元祖ビジュアル系となると、ルーツを辿ればヘヴィメタル系では44MAGNUM、パンク系ではDEAD ENDだろうが、もっとも有名なバンドは何と言ってもX JAPANであろう(“ビジュアル系”という呼び名は、X JAPANのアルバム『BLUE BLOOD』のキャッチコピーにあった“PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK”が起源だという説もある)。また、X JAPAN に続いたLUNA SEAやGLAYらのエクスタシーレコード勢、初期の黒夢やL'Arc~en~Ciel、さらにはSHAZNA、PENICILLIN、Plastic Tree、DIR EN GREYら90年代後半に出現したバンドたちもそのカテゴリに入ると思う。忘れてはならないのがMALICE MIZERだ。92年結成~01年活動休止と、その活動歴は10年に満たないし、メジャーではわずか1年しか活動しなかったバンドではあるが、その美麗なルックス、妖艶なコスチュームからして、“正統なるビジュアル系”と呼びたいほどである。 彼らのバンドに向かう姿勢はとにかく徹底していた。“浮世離れしている”という表現でいいかどうかわからないが、少なくとも一般人がやっているような素振りがまったくなかったと言ってよい。リーダーのMana(Gu)は表舞台で喋ることはなく、トークイベントなどでは隣に通訳を置いて耳打ちによって自分の発言を伝えるというのは有名な話だ。Gackt(Vo、現:GACKT)がテレビのバラエティー番組に出演して、ストイックかつセレブレティーな私生活を垣間見せることがあるが、あのイメージから想像してもらってもいいかもしれない。90年代後半はパンク、ミクスチャーロックも盛り上がりも見せたが、そのフィールドのバンドたちがストリートにこだわり、着衣もあえてステージ上と観客席の区別がないようにしたのとは真逆である(彼らはクラウド・サーフィング、モッシュ・ダイブでまさしくステージと客席との物理的な垣根も取っ払った)。