大阪刑務所の「陰部検査」「全裸で身体検査」…日弁連が「重大な人権侵害」と勧告
受刑者を全裸にさせる身体検査のほか、定期的に陰部を調べる検査をおこなっているなどとして、日本弁護士連合会(日弁連・荒中会長)は1月6日、大阪刑務所長あてに郵送で勧告をおこなったことを明らかにした。勧告書は1月5日付。 【写真】会見の様子 大阪刑務所の受刑者が2018年に人権救済を申し立てていた。 ●すべての受刑者に陰部検査「人格権の侵害」 日弁連の調査報告書によると、大阪刑務所ではすべての受刑者を対象に定期的(年数回)に陰部検査をおこなっていたほか、工場で作業をおこなうすべての受刑者に対して全裸の身体検査、パンツ1枚を着用しての検査をおこなっていたとされる。 陰部検査は受刑者が自ら陰部を持ち上げ、刑務官に見せるというもの。陰部に異物を挿入していないかの確認などを目的におこなわれていたという。 全裸の身体検査は、工場で作業をした日は毎日、就業開始前と終了後に工場更衣室でおこなわれた。複数の受刑者が全裸になって並び、刑務官が目視するというものだったとされる。 ただ、2016年11月21日以降は受刑者を全裸にしてはおらず、パンツ1枚を着用しての検査をおこなっていたという。 川上詩朗弁護士(日弁連人権擁護委員会委員長)は「受刑者に対して一律にこのような検査がおこなわれており、侵害態様が極めて重大である。他のところでも同種のことがおこなわれているかもしれない」とし、日弁連としてしっかり調査をして意見を述べるべきという観点から調査をおこなったと説明した。 勧告書は大阪刑務所のみに送付されたが、今後は法務省や全国の刑務所などにも参考資料として送付する予定だという。
弁護士ドットコムニュース編集部