40代、50代の気持ちがラクになる「幸福学」講座/幸せには「種類」がある!?あなたを幸せにするのは…
「幸せ」とは多くの収入を得て流行のファッションを身にまとい、豪華な食事を楽しむ生活のことだろうか。幸福学の第一人者、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司先生は「幸せには“瞬間的なもの”と“持続的なもの”というとらえ方があることを知っておきましょう」と語る。その違いとは?
幸せにも種類があります
――おいしいものを食べたり、素敵な服を買ったり、イケメンを見たり。またSNSで「いいね!」がついたりすると、私たちはいとも簡単に幸せな気持ちになります。でも前野先生が提唱する「幸せの4因子」には、そういうキラキラした幸福は含まれていません。それらは、本当の幸せとは違うのでしょうか。 ええ。幸福学においては、おっしゃるようなキラキラの幸せは「ハピネス」、幸せの4因子で生まれる幸せは「ウェルビーイング」ととらえています。そしてハピネスも、ウェルビーイングに含まれている、と考えてください。 ――幸せって、なんとなく曖昧なものと思っていました。でも幸福学においては、定義されている概念があるんですね。「ハピネス」と「ウェルビーイング」の違いについて、もう少し知りたいです。 ハピネスとは、瞬間的に気分が高揚し、快楽を得たときに感じる幸せのことを指しています。一方のウェルビーイングは、心のよい状態のこと。長続きする幸せも含みます。おいしいものも素敵な服も、また恋愛のときめきやSNSの「いいね!」なども、手に入れた瞬間は幸せや高揚感を感じるけれども、永続的ではありませんよね。手に入れた瞬間が幸福のピークなので、その後は「もっと欲しい!」という渇望感につながりがちです。
――確かにそうですね。モノの消費による幸せは特に、長続きはしないと感じます。それでもやっぱり時々はおいしいものも食べたいし、買い物もしたいのですが…。ハピネスを追い求めるのはだめなのでしょうか? もちろん、追い求めてもいいですよ。過度に自分を甘やかしてばかりいるのはよろしくありませんが、このストレス社会でリラックスする時間を持つことはとても大事です。 本当はストレスに対する根本的な原因を解決するのがいちばんいいわけですが、上司やパートナーにしょっちゅう嫌味を言われるとか、難しいこともありますよね。なのでまずは自分をいったんストレスフルな日常から切り離して、ケーキを食べたり買い物をしたり、温泉にでも入ってリラックスして、落ち着いた心を取り戻しましょう。 ただずっとそれを繰り返していても解決はしませんから、元気が回復してきたら、「あなたの言い方は傷つく。変えてほしい」と伝えるなど、頑張って行動していく必要はあります。 ――問題から距離を置いて、その後、解決するという2ステップですね。ハピネスは、アクションを起こすエネルギーをためるものとして、上手に使う、と。 そのとおりです。