北朝鮮の短距離ミサイル発射はなぜ大ニュースじゃない? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
視線はアメリカ?
なぜそんなまねをするのでしょう。おそらく「アメリカよ。私はここにいる」と叫びたいから。日韓ともに在日米軍がいて、そこへミサイルでも発射しようものならば米軍と個別的自衛権を発動した日韓の軍事力でたちまち制圧されるのが目に見えています。アメリカは間違いなく参戦するでしょう。なぜならば朝鮮戦争が「休戦」状態に過ぎないからです。韓国と国交を結んだ中国も北朝鮮が先にしかけたら今度は助けてくれそうもありません。 つまり北朝鮮は日韓国民がすでに忘れかかっている「休戦」を誰よりも「終戦」にしたがっているのです。現にこれまで何度もアメリカに終戦を要求してきました。何としてもアメリカとの直接会話に持ち込み、いつでも再会できる「休戦」から脱して国家の存続を確保したいのです。北朝鮮の「お目当て」がアメリカならば、シルクワームやノドンをぶっ放しても「どうせデモンストレーションだ」と日韓国民が考えるのも一理あります。ただ油断はできません。原理上ノドンでも核弾頭は積めるからです。 --------------------------------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】