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互いに関係して人は成長できる アドラー心理学

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日経ARIA

大人気だった「アドラー流 ココロのサプリ」連載は、今回が最終回。アドラー心理学に基づいた「ココロの救い方」を発信してきました。今回は改めて、「そもそもアドラー心理学とはどんな考え?」を見ていきましょう。ハッピーなココロを育てるコツは、人間関係を重視するアドラーの思想にあるのです。  この連載も最終回。まとめとして、アドラー心理学の核心をお話ししましょう。これから先、みなさんが悩みを抱えたとき、アドラー流の考え方を思い出す助けになればと思います。  アドラー心理学が目指すことを一言でいうと、今回のタイトル「『ラッキーを待つ』から『ハッピーを育てる』私へ」です。  「ラッキー」とは、たまたま転がり込んでくる幸運のこと。来るとも知れない白馬の王子様を待つような、「受け身」の姿勢です。これに対して「ハッピー」は、自分次第。あなたが世界をどう見るかに左右されます。よくある例えですが、水が半分入ったコップを見て、「もう半分しかない」と思ってがっかりするより、「まだ半分ある」と思える人はハッピーなのです。  もっとも、こう言われただけで考え方を変えられるなら、誰も悩みません。「まだ半分ある」と自然に思えるようになるには、じっくりとハッピーなココロを育てる必要がある。そんなココロの育て方を教えてくれるのが、アドラー心理学です。

関係性の中でこそ人間は成長できる

 アドラー心理学の根底には、「人間は、互いに関係し合って生きている」という世界観があります。この言葉だけを聞くと当然のことに思えますが、突き詰めていくと、一般的な常識をひっくり返すような独特の視点を含んでいます。  例えば、先ほど「ココロを育てる」という話をしました。この話を目にした人の中には、悩みを自分で乗り越えようと頑張ったり、自分の内なる「ココロ」を見つめ直したりすることをイメージした人もいるでしょう。こうした考えには無意識のうちに、「個の確立」という個人主義的な世界観が入り込んでいます。まず個々人が自我をしっかり育て、その上で成熟した個人同士、自己責任で関わり合う。社会はそういうふうに成り立っている、という世界観です。  アドラー心理学の見方は全く違います。人は生まれたときから持ちつ持たれつの関係にあり、その関係性の中でこそ成長する。関係性を取り払った「個人」というとらえ方は無意味とまで言い切ります。ですから、ココロを育てるにも、自分一人ではなく、ほかの人との関わりが肝心なのです。  少し日常的な例に置き換えましょう。この連載でも、身近な人と「ありがとう」でつながる関係がココロを育てるという話をしました。そんな話を聞くと、「いい人になろう」と考える人がいるかもしれませんが、それがすでに個人主義的な考え方。「いい人」という設定を自分で決め、それを目指した時点で、「人との関わり」から外れて一人で成長しようとしているのです。  アドラー心理学では「いい人になる」ではなく、「いいコトをする」と考えます。いいコトとは、誰かが喜ぶような行動。他者への働きかけですから、そこには必ず関係性があります。いいコトをして人から感謝され、いいコトをしてくれた人に感謝する。そんな積み重ねが、ハッピーなココロを育てるのです。  今の世の中は、前に挙げた個人主義的な世界観が浸透しています。私たちの頭の中にも深く入り込んでいるために、何かに悩んだようなとき、つい「自分、しっかりしろ!」などと一人で抱えてしまう。違うのです。悩んだときほど、やるべきコトは人との関わりの中にあります。時には失敗もするでしょう。それでも、ハッピーなココロを育てるには、関わり続けるしかないのです。この点をぜひ忘れないでください。 Lesson1 いい人にならなくていい、いい「コト」ができるようになろう 「いい人」という目標を掲げると、一人で理想を目指すイメージが形成され、理想に届かない自分は「ダメな私」になってしまう。「いいコトをする」と考えると、自然に他者との関係の中にいるイメージができる。助けたり助けられたりする中で、自己肯定感が保たれやすい。

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