<私の恩人>人気演出家が敬愛する鶴瓶の人柄
まっ…、その後、5年半で別れたのは、本当に申し訳なく思っておりますが(苦笑)。 離婚のお詫びに言うわけじゃないですけど(笑)、お仕事でも、08年に僕の初監督の映画「同窓会」の時に出演をお願いしたんです。そうしたら「宅間の初監督なんやから、祝儀や」とおっしゃってギャラは受け取らず、出演してくださいました。 僭越(せんえつ)ながら、鶴瓶さんの一番好きなところは、僕に対してもそうだったんですけど、本当に誰とでも、出会った人全員と旧知の仲のようにお話をされるところです。本当に相手のことを思い、好きになり、怒って、お話をされるんです。 とてもじゃないですけど、これは処世術としてはできるものじゃない。本気でそうやって生きてらっしゃるからこそ成立する“究極の人当たりのよさ”。そこで得た話が芸にも活かされている。跳ね返ってくる。表現が難しいですけど、しっかり自分と向き合ってらっしゃるということをひしひしと感じます。 生きざまですから、計算してできることじゃない。だからこそ、真似るのはすごく難しい。ただ、少しでも、その姿勢を学んでいけたらなと思っています。 (聞き手・文責/中西正男) ■宅間孝行(たくま・たかゆき) 1970年7月17日生まれ。東京都出身。早稲田大学を中退し、97年、劇団「東京セレソン」を立ち上げる。01年に「東京セレソンデラックス」に改名。“日本で一番泣ける劇団”とも呼ばれ、12年12月31日の解散まで20作以上が製作された。07年に放送されたTBS系連続ドラマ「歌姫」(長瀬智也主演)や、今年5月に公開された映画「くちづけ」(堤幸彦監督)など、映像化された作品もある。06年、女優・大河内奈々子と結婚したが、12年に離婚。舞台「晩餐」は27日まで東京・池袋のサンシャイン劇場で上演。その後、名古屋・名鉄ホール、広島・アステールプラザ大ホール、福岡・キャナルシティ劇場、札幌・道新ホール、富山・富山県教育文化会館、新潟・りゅーとぴあ・劇場、仙台・電力ホールで上演され、大阪・森ノ宮ピロティホール(12月2~8日)で全国ツアーを締めくくる。 ■中西正男(なかにし・まさお) 1974年大阪府枚方市生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。大阪報道部で芸能担当記者となり、演芸、宝塚歌劇団などを取材。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、芸能ジャーナリストに転身。現在、関西の人気番組「おはよう朝日です」に出演中。