障害のある子が「年収400万円」で扶養から外れた! 初めての確定申告をシミュレーション!
障害のある子の親にとって、将来子どもがどう暮らしていくかは切実な問題です。 2023年1月31日、国税庁へとつながる地下鉄の駅構内などで、「鳥肌が立つ、確定申告がある。」という企業広告が掲示されました。「異彩を、放て。」で有名な福祉実験ユニット、株式会社ヘラルボニーの確定申告広告です。 障害のある子どもが稼いだ結果、扶養から外れたという親にとって将来に希望のもてる内容ですが、その後のツイッターでは、子の年収は400万円程度であったことが明かされました。 本記事では、障害者に関する所得税について解説します。なお、この記事は障害を持つ人の所得を推計する目的ではなく、障害者に関して所得税の計算方法を解説することを目的としています。
障害者の工賃(賃金)
厚生労働省のホームページによると、障害のある人の障害福祉サービスは次のようになっています。 (1)就労移行支援 一般企業に雇用されることが可能と見込まれる者に対して、必要な訓練を行うもの。 (2)就労継続支援A型 一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づいて、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供を行うもの。 (3)就労継続支援B型 一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づかず、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供を行うもの。また、「2021年度平均工賃(賃金)」は図表1のとおりです。
<図表1> 今回取り上げた企業広告のモチーフになったのは就労継続支援B型の人のようです。
障害者と所得税
障害者に関する所得税控除には、障害者控除があります。扶養している人と本人にかかる影響について検証してみましょう。 ◆扶養している人の障害者控除 子どもなどの家族を所得税法上の扶養にできる基準は、その扶養家族の年間合計所得金額が48万円以下であることです。給与のみの場合は給与収入が103万円以下となります。 障害者である親族を扶養している人が受けられる所得税の障害者控除額は、図表2のとおりです。