『ちむどんどん』“子役ロス”も解消の黒島結菜らの輝き 無職の兄・賢秀の気になる今後
「みんなで幸せになろう」と家族で誓い合った日から7年後の1971年。日米間で沖縄返還協定が結ばれ、翌年5月15日に沖縄が本土復帰を果たすことになった。ちょうどその年に高校を卒業する暢子(黒島結菜)も、進路を決めるにあたって大きな転機が訪れる。 【写真】トラブルメーカーの兄と言えば、『カムカムエヴリバディ』の算太(濱田岳)も NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』第3週初日の放送では、暢子役の黒島結菜をはじめ、竜星涼、川口春奈、上白石萌歌らがついに本格登場となり、比嘉家四兄妹の現在の暮らしが描かれた。 視聴者が一番気になっていたのは、賢三(大森南朋)が遺した借金の行方だろう。今回、優子(仲間由紀恵)が村の共同売店で働くようになり、加えて内職と畑仕事で得た収入で家族を養っていることが明らかになった。兄妹らがそれぞれ高校や大学に進学できていることからも、借金の問題は解決したとみられる。幼い頃からの夢を叶えて教師になった長女の良子(川口春奈)も給料から家にお金を入れるようになり、比嘉家は以前よりも生活が楽になった。 高校3年生になった暢子はというと、親友・早苗(高田夏帆)の父で共同売店の店主を務める善一(山路和弘)の紹介でやんばる一の商社に就職が決まりかけている。相変わらず食べることが大好きな暢子は、商社に入ったら世界中の美味しいものと出会えるのではないかと“ちむどんどん”していた。一方、優子に代わって家族のご飯を作ることにはうんざりしている様子。「毎日だと面倒くさいこともあるさー」という暢子のセリフにたくさんの人が頷く光景が目に浮かぶ。家族のために今は仕方なく料理をしている暢子がそこにどんなやりがいを見出していくのか、今後の展開が楽しみだ。 また、末っ子の歌子(上白石萌歌)も暢子と同じ高校に進学。人見知りで恥ずかしがり屋なのも時々熱が出てしまうのも子どもの頃から変わっていないが、元気に成長した姿に安心させられる。心配なのはみんなのニーニー、賢秀(竜星涼)だ。 21歳になってもスーパーバンドをつけている賢秀は高校を中退し、仕事はどれも長続きせずに現在は家でゴロゴロしている。それだけならまだしも、喧嘩っ早く問題を起こしてばかり。この日も酔っ払いの若者3人を殴り倒して村の派出所にいた。でもそれは殴った相手が新垣のおばぁ(きゃんひとみ)に危うく怪我をさせそうになったからだ。 子どもの頃に高校生との乱闘騒ぎを起こした時も、きっかけは暢子が危害を加えられたからであり、賢秀が喧嘩をするのはいつも誰かのため。そんな心根の優しさを分かっているからこそ、優子は賢秀に甘いのだろう。前作の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』の濱田岳に続き、竜星涼がトラブルメーカーだけどなぜか憎めないお兄ちゃん役を好演している。しかし、賢秀の喧嘩がきっかけで暢子の就職が取り消しになるなど、長男の素行の悪さが家族にも思わぬ影響を与えていくことに。そんな前途多難な四兄妹の人生が少しずつ動き出していく。 稲垣来泉をはじめとした子役たちの名演が素晴らしく、“子役ロス”が広がっていた本作。だが、始まってみると本役を演じるキャストの佇まいや仕草が子どもの頃と全く変わらず、違和感なく彼らの新たな物語に入り込むことができた。第1話と同じように“ちむどんどん”な幕開けで、早々にロスは解消されそうだ。
苫とり子