「女性が自分の人生を決める権利」を守るため。アフターピルの市販薬化を求める産婦人科医や女性たちが、国に訴えたこと
避妊の失敗や性暴力などによる望まない妊娠を防ぐために使われる「緊急避妊薬(アフターピル)」。市販薬化をめぐる議論が続く中、薬局での販売を認めるよう求めて活動している「#緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」が、厚生労働省に署名と要望書を提出した。【BuzzFeed Japan/伊吹早織】 プロジェクト共同代表で、産婦人科医の遠見才希子さんは、「女性が自分の人生を決められることは権利で、とても大事なこと。性の問題や望まない妊娠は、誰もが当事者になる可能性があるし、みんなで考えて世論を高めていきたい」と訴えた。
#緊急避妊薬を薬局で
緊急避妊薬は、性暴力や避妊の失敗などで望まぬ妊娠の可能性がある場合、性交から72時間以内に服用すると、高い確率で妊娠を避けることができる薬だ。性交後、早く飲むほど、妊娠を防ぐ確率は高まる。 欧米をはじめ世界90カ国以上で、すでに処方箋なしで薬局で買えるようになっており、WHO(世界保健機関)の「必須医薬品」に指定されている。 また、WHOは「望まない妊娠のリスクに置かれたすべての女性や少女には、緊急避妊へアクセスする権利がある」という勧告を2018年に出している。 しかし、日本では医師の診療を受けた上で処方箋を受け取る必要があり、価格も約6000円~2万円程度と、他国に比べて高く設定されている。 2017年には、緊急避妊薬の市販薬化に向けて、厚生労働省の検討会で議論がなされたが、「性教育が遅れていて、使用者のリテラシーが不十分」「薬剤師の専門的知識が必要」「安易な販売、悪用・乱用などへの懸念がある」などの理由が挙げられ、「時期尚早」だとして承認されなかった。 緊急性が高い状況で必要になる薬なのに、アクセスしづらい状況が続いていることを受け、「#緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」が、アクセス改善を求めて署名活動を開始。10万7千人を超える署名が、10月27日までに寄せられた。