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初対面でも言いたい放題「外国人の声」は宝の山 オークマ社長、ヒットの秘訣

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NIKKEI STYLE

《連載》私の課長時代 オークマ社長 家城淳氏(下)

■反省を踏まえ、ベストセラー製品を生む。 基礎技術の研究を手掛けた後、2003年に技術企画室長に就きました。研究した技術を製品に落とし込み、具体的な商品戦略の立案が任務です。優秀な仲間とともに成長に向けたロードマップを描きました。 この時に開発したのが複合加工機「マルタス」です。多数の工具を同時に使っても絶対ぶつからないよう工夫を凝らしたほか、加工時の熱による温度変化があっても高精度を維持できるなど、顧客が求める技術を採り入れた自信作です。 04年に売り出すと革新性が評価され、想定以上の反響でした。量産過程で思わぬトラブルが噴出することもあるので、発売して半年程度は安心できない日々が続きました。マルタスは過去の反省を踏まえて開発したこともあり、最終的にベストセラーになりました。

■海外とのギャップに直面する。

商品開発を手掛ける中で注力したのが、海外との連携強化です。日本から工場が次々と海外に出て行く中で、オークマもグローバル化が急務になっていました。海外拠点のセールス担当やエンジニアを年1回日本に招き、地域の状況や要望を議論する会合を立ち上げることになりました。 本社の立場から開発や販売の方針を説明するのですが、どうも勝手が違います。日本人は融和を意識しますが、外国人は面識がない相手に対しても言いたい放題。体系立てて議論しないとわかり合えません。ただし、慣れればそれが普通になります。多少の意見の違いがあっても共感があれば、意欲的に働いてもらえることにも気づきました。

■摩擦こそビジネスのヒントになる。

会議を通じ、外国人の声は宝の山であることを痛感しました。ドイツ拠点の担当者は、NC(数値制御)装置のアルゴリズムの先端事例を教えてくれました。日本にいるだけでは発想すらできなかったでしょう。 欧州で機械を販売する場合は現地の安全基準などを満たさねばならず、日本流のままだと使えないこともあります。試作段階でまずドイツ人に使ってもらうなど、連携を密にすることでスピード感のある開発ができるようになりました。 昨年まではこうした会合を年4回開いていました。新型コロナウイルスの影響で会議は一時中断していますが、一刻も早く再開したいと考えています。 人手不足は世界中で深刻化し、ものづくりは高度になっていきます。私は技術畑育ちですが、営業や企画、海外も含めて、ワンチームでスクラムを組まなければ企業は発展しないことを思い知らされました。

■あのころ……

工作機械各社は2000年代初め、高速・高精度を競って開発を進めた。オークマはこの争いから一線を画し、人工知能(AI)を本格的に研究した。制御装置やモーターといった周辺設備の内製化を加速するなど、独自技術に磨きをかけていった。 [日本経済新聞朝刊 2020年9月1日付]

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