日本の小学生は中国の「神コンテンツ」になっている…なぜ中国人は「1人で下校する子」に興奮して撮影するのか
■「珍百景」としてたくさんのいいねがもらえる そのため、子どもたちが数人で仲よくおしゃべりしながら下校する、といったほのぼのとした風景は、中国では決して見ることはできない風景なのだ。 このように、180度違うといってもいいほど、日本と中国の小学生の登下校の様子は異なるので、中国のSNSで「日本の小学生の登下校風景」を見かけると、珍しくて食い入るように見てしまう中国人が多い。 小学生が自分たちで白衣を着て配膳し、教室で給食を食べる風景も同様に中国で人気のコンテンツの一つ(中国では学食に行って食べるのが一般的で、自分たちで配膳しない)だが、まして、電車に一人で乗って通学する姿は「危なくないのか。信じられない。なぜ小学1年生を一人で電車に乗せるの?」といった気持ちになるようだ。 そのため、一部の悪質なインフルエンサーを除き、日本でそうした場面に自分も遭遇したら、一般人も写真や動画を撮ってしまうことが多い。在日中国人も同様で、中国ではこうした姿が「珍百景」「ウケる鉄板ネタ」であることを知っているため、小学生の写真を撮って、中国のSNSにそれを投稿する。すると、案の定、たくさんの「いいね」がもらえて、撮影者の中には「日本は安全な国だから、こういうすごいことができるんだよ」と自慢げに解説したりしている人もいる。 ■なぜ子どもの顔を隠さないのか? しかし、なぜ、彼らは子どもの顔まで撮り、平気でSNSに載せてしまうのか。それは、日本人と中国人のプライバシーに関する意識があまりにも異なっているからであり、彼らは子どもの顔をSNSに晒(さら)してしまうことに何の罪悪感や抵抗感も持っていないからだ。 最近では、中国でも、自分の子どもの顔の部分だけ、スタンプで隠したり、モザイク加工したりする人もわずかに増えてきているが、多くの場合、そのままだ。かわいい子どもの顔は自慢なので隠す必要がない、何でわざわざ、いちばん大事な部分(顔)を隠さなければならないのか、という考えがあるようだ。 また、それだけでなく、自分の子どもと同じ学校に通う子どもの顔写真もそのまま載せている。それが「他人のプライバシーを侵害している」「他人の子どもまで危険な目に遭わせている」といった意識はほとんどの人が持ち合わせていない。 中国では、日本よりずっと誘拐のリスクが高いのにもかかわらず、SNS上でこうした行為をする人は後を絶たない。ウィーチャットの場合は、ウェイボーと違って自分と直接つながっている人にしか見えない仕組みであることもあり、「自分の友だちや親戚に見せているだけだから別に平気でしょ」と高(たか)をくくっているのかもしれないし、顔が見えないとつまらない(「いいね」があまりもらえない)、と思っているのかもしれない。