速い、壊れない、堅牢がクルマの正義とは限らない! シトロエンEC4、ルノー・キャプチャー、プジョー3008 、フレンチ・クロスオーバーカー女性ジャーナリスト座談会!【前篇】
ドイツ車ばかりが人気なのって、どうなの?
機能至上主義とはちょっと路線が違うフランス車が、最近俄然面白くなってきた。ならばと、ルノーからはガソリン、プジョーからはハイブリッド、そしてシトロエンからはEVを借り出し、飯田裕子、佐藤久実、吉田由美の女性ジャーナリスト3人がフレンチ・クロスオーバーの魅力について語り合った。 【写真25枚】シトロエンEC4、ルノー・キャプチャー、プジョー3008 、フレンチ・クロスオーバーカー女性ジャーナリスト座談会の詳細画像をチェック ◆3人が思うフランス車の魅力とは? ――色々と手が掛かるといわれるフランス車ですが、それでも乗ってみたいと思わせる魅力は何なのか。今回は佐藤久実さん、飯田裕子さん、吉田由美さんの3名の女性ジャーナリストに、ご自身の経験や最新モデルの試乗を通して、その魅力を掘り下げていただきたいと思います。 飯田 最初に天国と地獄がテーマと伺ったんですけど、フランス車で地獄を体験したことはなくて。昔のDSの乗り心地やシートの掛け心地の良さはほんと天国のようですし、いまのC3にはいつまでものぼせない温泉に入っているような、居心地の良さがある。それも天国かな。 吉田 私のフランス車に対する印象は、良くも悪くも個性が強いところですね。デザインや装備などに先進感や珍しさが必ずあって、人を驚かせるのが好きなんだなと。実際に自分で所有したことが無いので本当のところはわかりませんが、壊れやすいイメージがあるのは地獄というか、残念ですよね。 佐藤 私はトゥインゴに乗っていたんですよ。初代のとぼけた顔の。 一同 おー! 佐藤 モノフォルムのちっこいクルマだけど、すごく実用性が高くて。ドアの内側は鉄板むき出しで、樹脂パネルもない潔さがあって。シートには雲の絵が描いてあるっていう遊び心もある。すべての発想が当時の日本車には絶対ないようなものばかりで、ベタだけどとにかくおしゃれ。 吉田 どうしたらこういう発想が生まれるんだろうって思う。 佐藤 私の乗っていたのは2ペダルMTのEasyで、マニュアルを運転できる人にとってはペダルがないだけでクルマの運転がこんなにイージーなんだって思えるものでした。 飯田 久実さんがEasyって意外。 佐藤 当時は珍しかったじゃない、2ペダルMTって。動力性能が自分のライフスタイルには合わなくなったから手放したけど、良き思い出の一台ですね。あと付け加えるなら、ルーテシアが私のFFの走りのリファレンスになっています。 一同 ほほーっ! 佐藤 初めて乗ったときに衝撃的で。FFでぺたぺたした乗り味なんだけど、サーキットを走ってもちゃんと曲がる。それ以来リファレンス。 ――フランスは革命の国で民衆ファーストみたいなのがあって、天国の部分をなるべく多くの人に享受してもらおうっていう感じがしますよね。 飯田 2CVが50kgのジャガ芋を運べたりとか、カゴいっぱいの生卵を乗せても壊れない乗り心地とか、シルクハットを被ったままでも、つっかえない居住性とかを目指して作られたというストーリーにも親近感が湧きますよね。 ◆まるで高級プリンのような滑らかさ!? ――さて、今回はシトロエン、プジョー、ルノーの3台のクロスオーバーに乗っていただきました。電動モーター、ハイブリッド、ガソリンとパワートレインが異なりますが、それぞれの印象をお聞かせください。率直にどれが良かったですか? 佐藤 私はシトロエン。 吉田 私もE-C4。 飯田 私はプジョーかな。 ――まずシトロエンから伺います。 佐藤 さっきのジャガ芋とか生卵の話じゃないけれど、E-C4にはフランス車の独特の乗り味、サスペンションのストローク感がありますよね。乗ったときの優しいフィーリングがフランス車っぽい、シトロエンっぽさがEVでも出ている。そこに感心しましたね。 吉田 ステアリングも含めてすべてが軽くて、乗り味は高級プリンのように滑らかなのが良かったです。 飯田 カーブで腰下の重さを感じたのがちょっと気になって、普通のエンジン車だったらまた印象は違ったのかなと。気取りすぎない雰囲気は親近感を抱けてシトロエンらしい。 吉田 いろんな驚きがあるのがフランス車らしさと思っていて、E-C4にはその感じがいっぱいあった。軽やかに気持ちよく走れるところもそうですしデザインも。シートもふんわりとしていて心地いいですよね。ただ、サイドシルや床がちょっと高くて乗り降りはしにくいかな。 飯田 シートのデザインは思わず座りたくなっちゃう。PSAはハイブリッドでも三社三様に乗り味のキャラが立っているからEVも楽しみ! 佐藤 EVって大きくふたつに分けられるよね。トルクの出しかたも含めてオッて思わせるクルマと、いままでと違和感をなくするのと。E-C4は後者だと思った。BEVは初めの一歩だから、差別化はこれからなのかもしれない。 ーー好みが分かれた第一印象。では、走りはどうなのか? この続きは後篇で! 語る人=飯田裕子+佐藤久実+吉田由美 まとめ=桐畑恒治 写真=茂呂幸正 ■シトロエンE-C4シャイン 駆動方式 フロントモーター前輪駆動 全長×全幅×全高 4375×1800×1530mm ホイールベース 2665mm 車両重量 1630kg エンジン形式 ―― 総排気量 モーター定格出力57kW 最高出力 136ps/5500rpm 最大トルク 260Nm/370~3674rpm 変速機 1速固定式 サスペンション前 マクファーソンストラット/コイル サスペンション後 トーションビーム/コイル ブレーキ前/後 通気冷却式ディスク/ディスク タイヤ前&後 195/60R18 車両本体価格 325万円~ ■プジョー3008ハイブリッド4 駆動方式 フロント横置きエンジン+前後モーター 全長×全幅×全高 4450×1840×1630mm ホイールベース 2675mm 車両重量 1880kg エンジン形式 直列4気筒DOHCターボ 総排気量 1598cc 最高出力 200ps/6000rpm 前モーター110ps 後モーター112ps 最大トルク 300Nm/3000rpm 前モーター320Nm 後モーター166Nm 変速機 8段AT サスペンション前 マクファーソンストラット/コイル サスペンション後 マルチリンク/コイル ブレーキ前/後 通気冷却式ディスク/ディスク タイヤ前&後 225/55R18 車両本体価格 627.1万円 ■ルノー・キャプチャー 駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動 全長×全幅×全高 4230×1795×1590mm ホイールベース 2640mm 車両重量 1880kg エンジン形式 直列4気筒DOHCターボ 総排気量 1333cc 最高出力 113ps/5500rpm 最大トルク 270Nm/1800rpm 変速機 7段DCT サスペンション前 マクファーソンストラット/コイル サスペンション後 マルチリンク/コイル ブレーキ前/後 通気冷却式ディスク/ドラム タイヤ前&後 215/55R18 車両本体価格 309万円~ (ENGINE2022年6月号)
ENGINE編集部
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