「ステレオタイプなジェンダー観」を回避しながら子育てをする方法
日本でも女性の書き手によるジェンダーに関する書籍が増えた。可視化されてきたこの問題を現在どのように捉える必要があるのか。更新されるジェンダー論についての質問に、著者・訳者が答える。 【写真】影響力のある女性たちが送る、エンパワーリングフェミニスト名言集60 今回は『不道徳お母さん講座』や『女の子は本当にピンクが好きなのか』などを著書に持つライターの堀越英美さんが、子育てにおいてのジェンダー常識の回避方法について答えます。
Q. ステレオタイプなジェンダー観を回避する子育て法は?
押し付けたつもりはないのに、女の子はピンクに、男の子たちは戦闘ごっこに夢中……。 3歳前後で起きるこの“怪現象”は、実は正常な発達の過程であるらしい。まずは自分を男・女のどちらかに振り分けるのが、アイデンティティの基盤になるのです。 幼児にとってピンクやフリフリのドレスは「女の子の素晴らしさ」のわかりやすい象徴のようなもの。プリンセスになりきってるからって「王子に寄生して遊んで生きよう」なんて思ってるわけではなく、戦闘ごっこをする子供が血に飢えているわけでもない。 幼児期の性差への執着は、大人からは不合理にみえても、飽きるまでつきあうしかなさそうです。 問題は、小学校入学以降も性差への執着が強化されがちだということ。これは同年齢集団におけるプレッシャー、メディアの刷り込みによるところが大きいのですが、家庭でもできることはあります。 まず、一番身近なロールモデルである母親自身が、「自分を捨てて尽くす正しい母親」という役割を手放すこと。妊娠・出産・育児は「死OR瀕死の二択かな?」と思いたくなるミッションまみれの無理ゲーです。早めに「無理なもんは無理!」とギブして夫を育児に巻き込み、自分を取り戻しましょう。 その際、命に関わる事でない限り細かなダメ出しは避けたほうがいいです。目的は夫を「正しい母親」2号にすることではなく、無理ゲーを一緒に楽しくプレイする仲間にすることなのですから。 ゆるゆると人生を楽しむ親に育てられた子供たちが増えたら、“らしさ”の呪縛もじょじょにほどけていくのではないでしょうか。 堀越英美:ライター。著書に『不道徳お母さん講座』(河出書房新社)、『女の子は本当にピンクが好きなのか』(Pヴァイン)など。訳書に『世界と科学を変えた52人の女性たち』(青土社)、『ギークマム』(オライリー・ジャパン、共訳)。
From Harper's BAZAAR March 2019