「やってしまう可能性は昔からあった」元日本代表MF乾貴士、引退も考えた激動の1年
「俺はこのままでいます」の意味
あれから4年。2022年はセレッソ大阪から清水エスパルスへ移籍し、激動のシーズンを過ごした。34歳の乾貴士はこの先どうするのだろう。 「サッカーを続けている以上、一つはタイトルを獲りたい。目の前にある目標はそれだけです。あとは現役を長く続けていければいいかな。カズ(三浦知良)さんまでとはいかなくても、(中村)俊輔さんまでいけるかな。俊輔さんは44歳ですか……。ここから10年は無理ですね。40歳までかな。この間、(中村)憲剛さんと話したんですが、『40までいったら俺のすごさが分かるよ』って言われました。今でも分かってるんですけどね(笑)」 最後に過去の自分に伝えたい言葉があるのかを聞くと、恥ずかしそうに「声かけたくないです(笑)。嫌です」と苦笑いしながら、言葉を紡ぎ出した。 「俺、18歳のときのままっすよ。そんなに変わんないですよ。このままでいるしかないから、がんばって成長しろよ、って言いたいです。落ち着けよって言いたいですけど、サッカー選手やってる間は、こういう感じなので、もうそこは割り切って。しゃーないんですよ。基本はやっぱり変わらないから、このままでいます」 サッカーを始めたころから今に至るまで、“いい意味”で変わらないしブレない。純真無垢な笑顔に “サッカー小僧”の本音が見えた気がした。
乾貴士(いぬい・たかし) 1988年6月2日生まれ。滋賀県出身。野洲高2年時に全国高校選手権を制覇。2007年に横浜F・マリノスへ入団。2011年にはドイツに渡り、2015年にスペイン1部エイバルへ移籍。日本人が活躍できないといわれたスペインリーグで6シーズンを過ごした。2021年、10年ぶりに古巣セレッソ大阪に復帰するも、2022年6月に規律違反などの問題で契約解除。7月に清水エスパルスへの完全移籍が決まった。日本代表としては、2018年W杯ロシア大会で2得点を挙げる活躍でチームの16強入りに貢献した。