なぜサガン鳥栖は不名誉な8試合連続無得点のJワースト記録に並んでしてしまったのか?
サガンはもともと得点力に長けたチームではない。しかし、昨シーズンにチーム2位の6ゴールをあげたMFイサック・クエンカがオフにベガルタ仙台へ完全移籍。新型コロナウイルスによる中断期間だった3月下旬には、同1位の7ゴールをあげたFW金崎夢生がグランパスへ期限付き移籍した。 オフにサガンを離れたのはクエンカだけではない。ともに27歳のFW小野裕二(ガンバ大阪)、DF高橋祐治、DF三丸拡(ともに柏レイソル)、28歳のMF福田晃斗(湘南ベルマーレ)が完全移籍。夏場の加入ながらチーム3位タイの4ゴールをあげて残留に貢献した30歳のDF金井貢史も、期限付き移籍を終えてグランパスへ復帰し、その後に清水エスパルスへ完全移籍している。 中堅組がこぞって移籍した結果、松岡に象徴される若手と35歳の元日本代表FW豊田陽平、ベガルタから加入した38歳の元北朝鮮代表MF梁勇基らのベテラン勢に大きく分けられるチーム構成になった。背景にはクラブの経営再建を図る上での、チーム人件費の削減計画がある。 サガンは2019年度決算で、Jリーグから開示されている2005年度以降のクラブ経営情報でワーストの金額となる20億円超の赤字を計上している。2018年度決算に比べてスポンサー収入が14億8600万円も激減したのに対して、年俸などの総額となるチーム人件費が26億7000万円から25億2800万円と微減で推移した結果、クラブ経営を圧迫する事態を招いてしまった。 昨夏に引退した元スペイン代表のエースストライカー、フェルナンド・トーレスを中心に優勝を狙える戦力を期限付き移籍ではなく移籍金の発生する完全移籍で、なおかつ複数年契約を結んだことがチーム人件費の高騰を招いた。迎えた今シーズン。人件費は11億6900万円へと半分以下に削減され、年俸1億5000万円(推定)の金崎も開幕後に期限付き移籍したことでさらに圧縮された。