中等症以上の患者急増 重症化予防へ県内医師ら連携 新型コロナ・鹿児島
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、鹿児島県内の中等症以上の感染者は22日時点で計35人(中等症32人、重症3人)となり、1日時点の15人から2.3倍に増加した。重症者が増えると医療の逼迫(ひっぱく)を招きやすいため、鹿児島大学病院、鹿児島市立病院の医師らで構成する「県新型コロナ感染症重症・中等症ネットワーク」は、感染者受け入れ医療機関を支援して重症化を防ぐよう取り組んでいる。 【写真】「重症者の搬送は一呼吸ごとの観察が欠かせない」と話す鹿児島市立病院の仲村将高医師=同院
チームは医師や臨床工学技士ら24人で構成。各医療機関との連絡網を作り、24時間体制で情報を共有するとともに、ゾーニングや消毒法の助言などを行う。患者の容体に懸案があれば即座にウェブ会議を開くほか、患者への投薬など治療方針を確認。重症化リスクの高い患者は早期に両病院で受け入れる。 中等症は肺炎の所見があり、重症患者は人工呼吸器や人工心肺装置「ECMO(エクモ)」での管理が必要となる。エクモの管理には1床あたり少なくとも6人の医療従事者を専属とする必要があるため、重症者の増加は医療現場に多大な負担を強いり、通常診療にも支障をきたす。このため、中等症や重症患者を引き受けたがらない医療機関は少なくない。 同ネットワークリーダーの垣花泰之鹿大病院救命救急センター長は「地方の医療機関を支え、中等症の患者を安心して受け入れてもらうことも役割」と話す。 地方から鹿児島市への搬送は時間がかかる上、容体が急変する恐れがあり、慎重な見極めが必要なため、地方の医療機関へ出向き、感染者を診察し搬送を決めることもある。
同ネットワーク会員で市立病院集中治療部の仲村将高部長は「医師の多くが『自分が感染したら鹿児島の医療は崩壊する』と覚悟して業務にあたっている。重症者をこれ以上増やさないために、県民の皆さんは感染を回避する努力を継続してほしい」と訴えた。