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10代とは思えない!藤井聡太七段の強さを分析

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HOMINIS(ホミニス)

新型コロナウイルス流行に伴う緊急事態宣言により、藤井聡太七段の5月の対局は無かった。今回、藤井将棋について改めて考察していきたい。 【写真を見る】タイトル獲得が期待される藤井聡太七段 ■序盤、中盤、終盤スキがない デビュー後は先手なら角換わり、後手なら2手目△8四歩で、対振り飛車には急戦と持久戦を使い分けていた。基本的なスタイルは現在も変わっていないが、たまに先手で矢倉を採用することもある。振り飛車や後手番での横歩取りの採用はない。 序盤はデビュー時から抜群の安定感だ。これまでの若手棋士、とくにデビューが早い場合は終盤型であったことがほとんどで、これは珍しい。序盤はどうしても経験値や知識の総量がものを言うため、棋歴の浅い若手よりもベテランに分がありがちだ。しかし藤井は史上最年少でのデビューながら、卓越した序盤センスと研究量で相手にリードを許すことはめったにない。どうしても終盤力が話題になりがちではあるが、序盤の安定感を持ち合わせていることこそが、他の棋士に恐れられる要因だ。 中盤は棋士の中でも指折りの長考派だ。「考えるのが趣味なのでは」と他の棋士にも言われるほど湯水のように持ち時間を使っていく。これも若手棋士らしからぬところで、奨励会(有段)では持ち時間が90分のため、プロになって長い持ち時間に対応できるようになるまで普通は慣れが必要だ。活躍の目立つ若手棋士でも、最も時間の長い順位戦(6時間)では苦戦することもある。だが藤井は長い時間を持て余すようなことはまずなく、終局時は残り10分を切っていることがほとんどだ。もちろん、時間切迫しても十分戦える自信があってこそだろう。 終盤は切れ味のある寄せと、強靭な受けを持ち合わせており、文句なしにトップレベルだろう。残り時間が少なくても乱れない読みの早さは驚異的だ。人類史上最速の詰将棋解図能力もあり、詰みを逃すことはほとんどない。そして時には誰も思いつかないような派手な手も見せ、棋士として魅せる面もある。 メンタル面においてもスキがなく、相手や局面を見て油断をすることはまずない。楽観からの悪手や、手拍子のポカはめったに見られず、10代とは思えない完成度だ。 ■さらに強くなる可能性も秘める 文字通り「序盤、中盤、終盤スキがない」藤井だが、わずかながら弱点もある。1つは作戦の幅が狭いことにより、相手は研究をヒットさせやすいことだ。後手番で研究負けというパターンは何度かある。だが、相手がとっておきの研究をぶつけてくるのは、若い藤井にとってはさらに強くなるきっかけにもなるだろう。 もう1つは中盤に時間を使いすぎて、終盤一方的に秒読みになり形勢も苦しくなっているパターンだ。その状況でも逆転することが多いのはさすがだが、痛い負けを喫することもあった。ただ、長い時間考えるのはそれだけ将来の糧にもなる。こちらも長い目で見れば損ではない。 藤井はデビューから3年半以上が経つが、まだ現役最年少棋士だ。将棋は基本的に若いほど伸びやすいとされ、これだけの強さを誇りながらまだまだ強くなる可能性は非常に高い。 現在のところ王位戦、棋聖戦はどちらも挑戦権獲得まであと2勝と迫っている。非公式ながら棋士のレーティングサイトでは渡辺明三冠、豊島将之竜王名人らを押さえて首位に立っており、実力は十分証明されている。満を持しての挑戦で、史上初の高校生タイトルホルダーとなれるか。 文=渡部壮大

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