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【ラグビー】ルーキーも爆発の帝京大は「健全」を意識。頂点に立つための「空気」が戻ってきた?

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ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)

 2017年度まで大学選手権で9連覇を果たした帝京大が、シーズンイン前最後となる実戦機会をよい形で終えた。  9月21日、東京都日野市内の本拠地グラウンドに東海大を迎えた。2009、15、16年度のファイナルを争った相手とは計3本のゲームを組んで3連勝。主力同士が出場した一戦は84-7とした。  堅守で相手のミスや反則を誘発。攻守逆転からの速攻やペナルティキック獲得後のラインアウトからのモールで、あれよという間にスコアを重ねていた。  就任24年目の岩出雅之監督はこうだ。 「7、8月は多くを求めず、ひとつひとつ(の項目)を丁寧にやってきた。学生たちのいい集中力が出てきた」  岩出監督は「きょうは、『桐蔭』という高校の出身者がよかった」と話す。  桐蔭学園高出身の3年で右PRの細木康太郎は、スクラムで好プッシュを披露しながら球を持てば相手をひらりとかわす。守りでも光った。  大阪桐蔭高で全国優勝を経験した2年の高本幹也は、SOで先発。乱れた相手防御の裏へ鋭いキックを放つなどし、首尾よく流れを整えた。  こちらも大阪桐蔭高卒で3年生FLの上山黎哉は、迫りくる相手を仰向けにさせてベンチサイドを沸かせる。「ナイスタックルでしたね」。指揮官から、この日のMVP級の働きだったと称賛された。

 新人も躍動する。高本、上山と同じ高校からやって来た江良颯と奥井章仁は、それぞれHOとNO8のスターターを務める。  江良はモールからのフィニッシャーとなるだけでなく、ミスボールを拾った味方へのサポートでもトライを生んだ。自陣ゴール前の防御局面では、強烈なタックルを繰り出した。  奥井も攻守で力強さを発揮。攻撃中に倒れる際は、持っている球を相手に触られぬ場所へ置く。基本をおろそかにしない。指揮官は続ける。 「しっかりした1年生だと思います」  昨季は加盟する関東大学対抗戦Aで9季ぶりに優勝を逃し、大学選手権でも3回戦敗退と苦しんだ。今季も新型コロナウイルスの感染拡大に伴い4月上旬で一時解散を余儀なくされたが、「そこで、揉まれました。しっかりとやらなきゃいけないことを、個人、集団として学んだ」と指揮官。感染防止のためのルール設定が、組織を引き締めたという。  この春、普段は全部員が入る寮へ残ったのは約20名。過半数の部員が実家へ戻るなか、岩出監督は「健全(健康、安全)」に関する部内のプロトコルを作成。オンライン会議ツールのZOOMを活用し、選手との面談でその内容を共有した。 「(解散後)最初の10日間くらいは精神的な不安もたまっていただろうから、のんびりしたらいいと思っていました。ただ、解散したということは集合がある。そこで意味のない集合はできない。責任感を持って安全に活動するには、学生が(必要な感染症対策を)わかっていなくてはだめ。我々がやって欲しいと伝えても、本人がその価値をわかっていなくては意味がないんです。彼らの理解を待ちながらだったので、時間はかかります」  5月以降は選手が段階的に寮へ戻り、7月には大半の選手が復帰した。当初は「健全への意識づけだけ。ラグビーに熱を入れて体調を壊してもよくない」。手指消毒やマスク着用を習慣化させ、少人数制のトレーニングで徐々に体力を戻した。  戦法やスキルを落とし込んできたのは8月中旬の菅平合宿以降。それでもこの日までには、「あそこは雑だったねというプレーが2~3あったくらいで、集中力の高い試合をしていました」と手ごたえをつかめた。丹念に土壌を耕した分、作物が芽を出すのは早かったか。 「気持ちの入った選手はいいプレーをしている。それを目指す空気が、チームに戻っている。大切なことは、いかに健康で、安全である状態を油断なく作っていくかです。去年の反省を含めてプログラムを整理しましたが、高い完成度を望んでも時間が足りない。これはどこのチームも一緒です。でも、学生がその気になって挑戦をしっかりできるシーズンにしたいです」  関東大学対抗戦開幕は10月4日。帝京大は自軍グラウンドに日体大を迎える。 (文:向 風見也)

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