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新型コロナウイルスを「抗体」で治療する医薬品の開発が、いま急ピッチで進められている

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WIRED.jp

「ワクチンが必要なんです」と、感染症対策に詳しい免疫学者のヤコブ・グランヴィルは言う。早口と巻毛が印象的な彼は、かつて科学者としてファイザーに所属しており、インフルエンザの万能ワクチンの開発を何年も続けてきた経験がある。 ワクチンはいつできる? 基礎から最新事例まで「知っておくべきこと」 グランヴィルがサンフランシスコで立ち上げたスタートアップのDistributed Bioは、さまざまなワクチン接種プロジェクトの先頭を走っている。そして当然のことながら、新型コロナウイルス感染症「COVID-19」との闘いを支援するバイオ医薬品の開発にも熱心に取り組んでいる。 だが、意外なことがある。新型コロナウイルス(正式名称は「SARS-CoV-2」)のワクチン開発からは距離を置き、並行して進められている抗体医薬品の開発競争へと参入したのだ。

あえて抗体医薬品の開発を選んだ理由

グランヴィルは世界中の研究所のさまざまな研究チームと協力しながら、新型コロナウイルスへの対策を補完する手段として抗体医薬品の開発を進めている。ワクチンとは異なり抗体医薬品は、長期的に病気を防ぐことはできない。代わりに、体が感染を(一時的にではあるが)即座に撃退したり、差し迫った感染を予防したりできるようにする。 この決断には時間も関係している。「ワクチンの開発には非常に時間がかかります」と、グランヴィルは言う。従来の臨床試験では健康な人にワクチンを投与し、免疫を獲得できるか観察する必要がある。有効性の証明には長い期間待つ必要があるのだ。 モデルナのような注目されているバイオテクノロジー企業は、わずか数カ月でヒト臨床試験に進むことができた。それでも多くの研究者は、政治家や評論家が示している予防接種の実現までの楽観的なタイムラインに疑問を抱いている。 抗体治療の独自研究に取り組んでいるテネシー州のヴァンダービルト大学ワクチンセンター副所長のロバート・カーナハンは、「実用化までの道のりは抗体のほうが短いと思います」と言う。「すべての人に新型コロナウイルスに感染させるか、ワクチンを接種するかのどちらかです。抗体はワクチン接種が実現するまでの橋渡し役を果たせます」

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