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世界の映画をこれからも日本で紹介していくために。未曾有の危機に直面した映画配給会社にre:STARTへ向けた試みを聞く

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ぴあ

24地域50名、世界の名だたる映画人たちから届いた応援メッセージ

自身のセテラ・インターナショナルのパックについてはこう語る。 「名監督から、巨匠、新しい才能と個性あふれる監督たちの一押し作品がずらりと並んだかなと。ロシアの巨匠(アレクサンドル・)ソクーロフ監督の『ファウスト』、ドキュメンタリーの巨匠、(フレデリック・)ワイズマンの『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』などから、ジェラール・フィリップ主演のクラシック映画までさまざまなタイプの作品が楽しんでいただけると思います。 あと、私自身が、作家性もありながら、心が晴れるようなエンタテインメント性あふれる作品が大好きなので、『あしたのパスタはアルデンテ』や『不機嫌なママにメルシィ!』といった良質のコメディ作品も選びました。外出を控え、家にこもる日々が続きましたから、コメディでパッと笑ってストレスを発散してもらえたらと思います。 今は、世界中の国々がほぼ鎖国状況になっています。その中で、世界の映画を観ることで世界とつながることの価値を感じていただけたらうれしいですね」 この独立系配給会社の新たな試みに対し、イザベル・コイシュ、エリック・クー、ツァイ・ミンリャン、マチュー・アマルリックら世界の映画人から続々と応援メッセージが届いている。こちらは動画コメントにまとめられているのでチェックしてほしい。 「私ども独立系映画会社は、製作者や俳優と直接コンタクトを取っています。そこで連絡をしたところ、多くのコメントを寄せてくれました。本当に心強いですし、ありがたいことです」

映画の火を消さないために……。新たな試みでなんとか踏ん張りたい

5月15日から5社の配信が始まり、翌週の22日にはさらに8社が配信開始。現在、13社の配信がスタートしている。これまでの手ごたえは? 「初日はアクセスが集中したみたいで、つながりづらい状況が続いたみたいでご迷惑をおかけしたようなのですが、順調な滑り出しが切れたかなと思っています。ご年配の方はなかなか配信になじみがないので、うちにも視聴方法の問い合わせがよく入るのですが、そのあたりをきちんと解消していけば、幅広い層に広く浸透していくのではないかと思っています」 それでも厳しい状況は変わらないが、こう前を向く。 「エンタテインメントは人間の生活においてはプラスアルファの要素。まず、衣食住があってその先に必要となってくるものだと思うので、この映画界の危機が戻るのはかなり遅いのではないか。それを覚悟しないと、とは思っています。 そういう長い目で見ても、コロナと共生していくために映画の見方の多様性というのをお客様に選んでいただく時代にもなってきたのかなと、感じています。いろいろな映画の見方をこちらも提供していく必要があるのかもしれない。映画館に行きたくても行けない人がこれからもっと出てくるかもしれない。そういう意味で、映画は映画館で観てほしいという願いは変わらないのですが、今回のような試みもしていかないといけないのかなと思っています。 とにかくこのままでは私たちは倒れてしまう。私たちが倒れてしまうと、ミニシアターに映画を届けることができなくなってしまう。そして、世界の映画人が日本の観客に映画を観てもらう機会が、映画の多様性が失われてしまう。そうならないよう、なんとか頑張らないといけない。1日も早い劇場の再開を祈りつつ、今回の配信を一助にして、映画の火を消さないよう踏ん張りたい」 独立系配給会社が始めた見放題映画配信パック。言い方は好ましくないかもしれないが、これはコロナ禍が与えてくれた、珠玉の映画セレクション。これほどの名作に一挙に出会える機会はそうそうない。まずは、どんなラインナップなのか、覗いてみてほしい。そして、さまざまな映画を届けてくれる独立系配給会社の存在に想いを寄せてほしい。

取材・文:水上賢治

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