ひきこもりの孤独感、メタバースで解消を 仮想交流空間を立ち上げ
山梨県がインターネット上の仮想空間・メタバースを活用した、ひきこもり支援を始めた。定期的に開かれる交流イベントで友人をつくったり、個別相談を受けたりすることもできる。 【写真】メタバースの中で、アバター同士で交流する様子=山梨県健康増進課提供 県によると、引きこもり状態にある人にとって、外出して社会とつながることは負担が大きい。このため、自宅のパソコンやスマートフォンから気軽に参加できるネット上の交流空間「ふらとぴあ」を立ち上げた。 対象は県内在住のひきこもりがちな生活を送っている人や、生きづらさを感じている人。家族のひきこもりに悩んでいる人も参加できる。 県の専用サイト(https://www.pref.yamanashi.jp/kenko-zsn/hikikomori/hikikomori_metaba.html)が窓口で、参加者は自分の分身となるアバターのニックネームを登録して入室。富士山の眺望を楽しめる絶景スポット「FUJIYAMAツインテラス」をイメージしたエントランスには、各種支援情報やイベント開催などの掲示板がある。 交流広場は、空に浮かぶ浮島が舞台の仮想空間。ここで月2回程度、交流イベントが開かれる。10月29日に開かれた初回交流イベントには、約20人が参加。参加者たちはアバターがジャンプする写真を撮ったり、宝探しのゲームをしたりして交流した。12月12日、19日、来年1月8日、15日、2月12日のいずれも午後3時から予定されている(要予約)。 個別相談ルームでは、南アルプスの清流をイメージした空間で、県の相談員の相談を受けることができる(事前予約が必要)。その日の気分で昼と夜の景色を選ぶことも可能だ。 県は2020年、県内の民生委員と児童委員計2282人を通じて、ひきこもりに関する調査を実施。6カ月以上自宅にひきこもっている人は県内で615人いた。ひきこもり状態の期間が10年以上の人が全体の46・3%を占め、20年以上の人も20・5%に上った。 メタバースによる支援を企画した県健康増進課の担当者は「ひきこもり状態にある人が、メタバースを活用して少しでも孤独感を解消し、社会とのつながりを回復して前向きになれるきっかけになれば」と話している。 メタバースの公開は来年3月14日までで、利用者の反応などを見て、4月以降の実施を検討する。(藤本久格)
朝日新聞社