金属のカエルがセミに変形 3Dプリントと手作業による、造形作家の職人技
ツノゼミからカエルに変形する金属造形作品「可変角蛙」。 そのギミックがあっと言わせる完成度だ。 【画像】金属のカエルがセミに変形 驚きの造形 金属のカエルがセミに変形するその様は、実に不思議で、無機質な素材にも関わらずまるで生きているように映る瞬間がある。 ツノゼミの頭部がそのままカエルの頭に、羽は足になり、緻密な設計とデザインが光る。 金属造形作家・坪島悠貴さんは、これまで数々の変形ものを制作している金属造形作家。 一体どうやって考案・制作しているのか。そのこだわりを語ってくれた。
各部が連動して変形する仕組み
──作品をつくる工程を教えてもらえますか? 坪島悠貴(以下、坪島さん) 私の他の作品にも共通していますが、(3Dモデル作成ツールの)3D CADソフトを使い設計して、そのデータを3Dプリントします。 それを原型として、ジュエリーなどと同様のロストワックス(原型に金属などを流し込む鋳造方法)で金属にします。 そうやってできたパーツを組み立てることで作品を完成させます。 ──工程内で気をつけていることはありますか? 坪島さん それらの工程でつくるパーツはそのまま使えるものではありません。 各工程で手作業による修正、調整、仕上げが必要です。 ──変形する作品をつくるようになったきっかけはありますか? 坪島さん 学生の時から金属でオブジェなどをつくっていましたが、数年前にギャラリーからお誘いを受けて、根付(かつて武士/町人が巾着、煙草入れ、印籠などを携帯する時に使った留め具)の作品をつくった際に、壊れやすいパーツを内部に収納できるようにしたのがきっかけです。 最近では一か所を動かすと連動して他の部分も同時に変形する“連動変形”にも挑戦していて、本作品もその一環として制作したものです。 変形前後のモチーフには関係性を設定していて、今回のテーマは“捕食”です。 ツノゼミとカエルは一見無関係ですが、小さな昆虫とカエルという捕食関係にあると言えます。