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新布陣を「国民のために働く内閣」 菅氏“居抜き”ではないことを演出

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西日本新聞

 秋田の農家の長男が、「非世襲」「無派閥」のたたき上げで宰相に上り詰めた。「国民のために働く内閣をつくる」「おかしいことは直す」。菅義偉首相は16日、初の記者会見に臨み、早口で宣言した。7年8カ月の歴代最長政権を支えた自負と実績を強くにじませて「継承」を訴え、「既得権益の打破」「規制改革」と改革姿勢を前面に打ち出した。新型コロナウイルス感染拡大の影響に苦しむ九州の市民は、政治の安定を望みつつ「仕事師」の手腕を冷静に見極めようとしている。 【画像】5G(爺)内閣、リサイクル内閣…命名するなら?870人に聞いた  午後9時の首相官邸記者会見場に緊張感が漂う。  「国難にあって、政治の空白は許されない。安倍政権の取り組みを継承し、前に進めていくことが私に課せられた使命だ」「最優先の課題は新型コロナウイルス対策だ。国民の命と健康を守り抜き、社会経済活動との両立を目指す」  菅義偉首相はえんび服に銀のネクタイを締め、顔を心持ち紅潮させて切り出した。最長在職2822日を数えた官房長官時代の淡々とした会見とは異なり、国のトップは刺すような視線で言葉に力強さを乗せていく。

 「世の中には国民の感覚から大きくかけ離れた、数多くの当たり前でないことが残っている。行政の縦割り、既得権益、あしき前例主義を打ち破り、規制改革を全力で進める」と声のトーンを上げた菅氏。新布陣を「国民のために働く内閣」と自ら命名し、2度繰り返して前政権の「居抜き」ではないことを演出した。  この日午後1時45分の衆院本会議場。  「菅義偉君を、内閣総理大臣に指名する」-。約3分の2の314票を集めた菅氏は万雷の拍手を一身に浴びて一瞬、鉄壁のポーカーフェースを緩ませた。秋田の農村から身を起こし、横浜市議として力を蓄え、国政でも隠忍自重を重ね、ついに頂上に。「たたき上げの庶民派宰相」は立ち上がり深々と5回、こうべを垂れた。

 約7年8カ月の最長政権を率いた安倍晋三前首相が体調不良による退陣を表明して、わずか19日。  政府の危機管理の要である菅氏はこの間、自身の「天下取り」でも水際立った政局観と行動力を見せつけた。総裁選では、派閥政治のしがらみを引き受けて「継承者」の旗を手に入れるしたたかさで圧勝。初会見でも、得意げに「マイナンバーカード普及に向け、複数省庁に分かれている政策を取りまとめて進めていくデジタル庁を新設する」と「菅カラー」を強調した。だが、この先は-。  経済政策アベノミクスなどの路線は行き詰まりを見せている。ウイルスを収束させ、来夏の東京五輪・パラリンピックを開催できるかは不透明だ。前政権が残した森友、加計(かけ)学園の問題に関する質問が出ると、従来通り「守り」の説明に終始。初閣議が後に控えているとして、予定された30分間で会見を終えた。 (前田倫之)

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