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耕作放棄の茶園、「熟成茶園」に復活 香ばしく味まろやか

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岐阜新聞Web

 岐阜県加茂郡七宗町に数多く存在する、人の手が何年も入っていない雑木林のような茶園。この耕作放棄の茶園を「農薬や肥料の残留が少ない自然栽培の茶園」と価値を転換し、作られるお茶を「三年晩茶」として特産品化するプロジェクトが始まった。刈り取った茶樹を粉砕して薪火(まきび)で焙煎(ばいせん)したカフェインの少ないお茶で、薪は、美濃加茂市と加茂郡7町村で推進する「みのかも定住自立圏」の里山整備事業から供給されるという仕組みを作った。耕作放棄地の問題を解決し、持続可能な里山づくりを実現するユニークな観点が注目を集めている。  三年晩茶とは、新芽を刈り取らず、3年以上成長させた茶樹を枝ごと刈り取り、葉や茎も細かく粉砕し焙煎したお茶のこと。農薬や肥料は一切使わずに栽培する。お湯でいれたお茶の色は赤茶色で香ばしい香りとまろやかな甘みが特徴で、白川町や東白川村を中心に生産される「美濃白川茶」の煎茶とは異なる。  県内では、「美濃いび茶」の産地・揖斐郡揖斐川町で5年前から冬場に生産しているが、七宗町では三年晩茶を主力生産し特産品化を見据える。薪は美濃加茂市から供給され、可茂森林組合(同町神渕)に生産を委託する方向で検討を進めている。  七宗町が取り組む理由に、高齢化などにより耕作放棄された茶園の増加がある。放っておくと害虫やイノシシなど野生動物のすみかとなり、他の農作物を荒らす原因になる。現状を把握するため調査も開始、判明分だけでも面積は70万平方メートルを超えることが分かった。  生産体制を作るため、七宗町が関心のある住民を招いて勉強会を行った。講師は、三年晩茶の考案者で茶師の伊川健一さん=奈良県大和郡山市=。今月末に茶樹を刈り取って試作品として製茶する七宗町神渕の耕作放棄茶園を視察した。  約10年手入れをしていないヤブキタの茶樹は、背丈が3メートル以上に伸びていたが、伊川さんは「立派な『熟成茶園』」と目を輝かせた。「茶樹の刈り取りは、切りすぎると除草管理しなきゃいけないので、ひざ丈ぐらい残して」「肥料は、竹チップとかこの土地にあるものを使うといい」と栽培に向けて助言した。  勉強会には、神渕のまちづくり団体「若葉会」や茶農家、町議ら約30人が参加。同組合では座学も開かれ、三年晩茶をはじめ、自然栽培された紅茶や番茶、ほうじ茶などを飲み比べ、風味の違いや多様なお茶生産の可能性も学んでいた。  町は今年、可茂森林組合と協力して焙煎や刈り取りなどを担う生産組織をつくろうと町民に働き掛けており、三年晩茶の生産に取り組む地域おこし協力隊員(任期3年)も募集している。

岐阜新聞社

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