沖合の小さなサバまで一網打尽にする日本…「巨大サバが釣れまくる」ノルウェーと日本の決定的な差
そして本来するべき「科学的根拠に基づく資源管理」と逆のことが行われ、その結果、日本近海の魚が次々に消えてしまっているのです。 ■魚を食べ続けるために必要な4つのポイント 結果が出ているノルウェーの資源管理を基にして解説すると、以下の4点が必要です。すべて日本では逆です。このため、良くならないどころか、魚が減り続け、漁業間(沿岸漁業と巻き網・底曳きなど)の関係が悪くなっています。 そして消費者には、小さくて高い魚が提供されるようになってしまいます。このままでは、確実に悪化が進んでいきます。その傾向が随所に出ているのは、生活の中ですでにお気づきのはずです。
① 科学的根拠に基づく漁獲枠の設定と漁業(巻き網・定置他)ごと、漁船ごとに漁獲枠を設ける。 ノルウェーでは獲り切れない量の「サバの漁獲枠」を設定することはありえません。毎年消化率はほぼ100%です。わが国で行われている漁獲枠がターゲットのようになってしまう漁業には未来はありません。唯一クロマグロが回復傾向にあるのは、外圧により漁獲枠がタイトになったからです。 魚で自主的な管理で結果を出すことはまずできません。全体から見れば極ごく例外的なケースがあったとしても、それを大きく見せるのは誤解を生じます。必ず獲りすぎてしまい、その結果は日本中で見られます。
魚が減れば広範囲に操業できる大型の巻き網漁船のほうが有利です。しかしながら、結局は獲りすぎてしまい、漁業関係者が自分で自分の首を絞めてしまいます。 筆者の記事に「漁業者が悪い」とコメントされることがあります。自分が漁業者であったらどうだろうかと考えていただくとわかります。魚を獲ることが漁業者の仕事です。魚をたくさん獲りたいと考えるのはごく当たり前です。漁業者が悪いのではなく、獲りすぎになってしまう制度が悪いのです。
■サバの半分近くは養殖などのエサに使われている ② 3歳未満のサバの漁獲を禁止する。混じっても数%という厳しい制限を付ける。 産卵できる大きさに成長する前に漁獲する「成長乱獲」を止めること。0~1歳の「ローソクサバ」をはじめ、サバの幼魚を大量に漁獲している漁業に未来はありません。 ③ サバは食用で99%になるようにする。養殖マグロのエサ用枠は別途設ける。 ノルウェーでは漁獲の99%が食用です。日本では、養殖を主体としたエサに使用する比率が52%(2023年32漁港)となっています。実にもったいないことをしています。エサの比率が増えているのは、食用になる大きさになっていないためです。