「直線のレッドブルvsコーナーのフェラーリ」この構図は長くは続かない?
今季のF1の主役となっているフェラーリとレッドブル。ここまで5戦を終えて、フェラーリ2勝、レッドブル3勝と星を分け合っている形だ。そんな彼らだが、セットアップに関するアプローチはお互い異なっている。 【動画】なんてこった! ルクレール、フェラーリ『312B3』デモランでクラッシュ レッドブルは各サーキットで低ダウンフォースのアプローチを好み、コーナーでのパフォーマンスよりもトップスピードを重視してきた印象。一方のフェラーリは、最高速ではレッドブルに劣るものの、コーナーリングに優れてタイヤに優しいハイダウンフォースのセットアップを選択してきた。ただ今後に向けて彼らは、お互いに出し抜かれないためにもアプローチを収束させていく可能性がある。 チャンピオンを獲得した2010年代前半からハイブリッド時代にかけて、レッドブルは、ハイダウンフォースのセッティングを好んできた。これは当然ドラッグも大きいということに繋がるため、最高速では他に比べて劣ることが多かった。しかし今年のアプローチは異なっており、RB18はストレートで常に最速を記録している。そのため、予選ではフェラーリの方が速さを見せていても、決勝では優位に戦いを進めることができるのだ。 今季のレッドブルはフロアから多くのダウンフォースを発生することができている様子。その結果、フェラーリよりもリヤウイングでダウンフォースを発生させる必要性が少なく、ドラッグも少ない。それがトップスピードの優位性に貢献しているようだ。 フェラーリは今季、コーナリングスピードを向上させることを好む傾向にある。また、ウイングのセットアップを変更することも多く、これは彼らのマシンがどのセットアップ領域でも機能することを示している。 ただ先日行なわれたマイアミGPではダウンフォースの少ない新型リヤウイングを装着しており、トップスピードに配慮したことが分かる。ただ、路面のグリップが十分ではないマイアミでは一定のダウンフォースレベルを維持する必要があるため、彼らは最終的にはそのウイングを使用しなかった。 フェラーリがマイアミで投入したリヤウイングは今季3種類目。彼らはこれまでにも、微妙に異なる2種類のウイングを投入してきた。 その2種類のウイングを比較してみると、より多くのダウンフォースを生み出すウイング中央部のスプーン形状の部分、そして空気抵抗の減少に関わるウイング外側のセクションに違いが見られる。 フェラーリはマイアミで、この2種類のうちダウンフォースの少ないバージョン(イラスト上)を持ち込み、さらに上部のフラップからガーニーフラップを取り除くことで、さらにダウンフォースと空気抵抗を減らそうとしたのだ。 またマイアミでは登場しなかったものの、フェラーリはさらにダウンフォース量の小さいウイングを開発している。その仕様は先日モンツァで行なわれた極秘のフィルミングデーで目撃されている。 その新仕様は、よりフラットなメインプレーンのデザインが特徴的。ロングストレートを有するバクーでうまく機能するだろうが、それに先駆けてスペインGPでテストされるかもしれない。 またフェラーリは、空力特性を変えるためにマイアミでステアリングアームのフェアリングも新調してきた。これは従来のものよりも太く、車体側の付け根に向けては細くくびれたデザインとなっている。これは局地的な気流だけでなく、サスペンションエレメント全体の空気の流れに影響を与えそうだ。
Matt Somerfield