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好評だったNスペ「未解決事件 JFK暗殺」 専門家は「事実誤認が多い」と苦言

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デイリー新潮

SNS上では好評

 NHKは4月29日と5月2日の2夜にわたり、NHKスペシャルのシリーズ「未解決事件」第8弾として、ケネディ大統領暗殺事件を取り上げた。  ***

 どれほどNHKが力を入れたかは、前編の「episode 1 “はめられた“男」、後編の「episode 2 浮かび上がる“黒幕”」というタイトルからも伝わってくるだろう。「未解決事件の謎を解く」という意気込みが感じられる。  そもそもシリーズ「未解決事件」は2011年からスタートし、再現ドラマとドキュメンタリーを組みあわせて事件を検証するという構成だ。  ドキュメンタリー部分の取材力を「さすがNHK」と評価する声だけでなく、再現ドラマにおける俳優の演技が絶賛されることも少なくない。  第3弾の尼崎殺人死体遺棄事件や、第7弾の警察庁長官狙撃事件など、話題作の記憶も新しい。NHKを代表する人気シリーズの1つと言えるだろう。  そして第35代アメリカ大統領のジョン・F・ケネディ(1917~1963)を取り上げた今回の放送だが、「episode 1」も「episode 2」もゴールデンウィーク中の放送となった。  新型コロナで視聴者の多くは自宅に籠もり、無聊をかこっていたに違いない。NHKが普段以上に視聴率を意識したとしても不思議はないだろう。  NHKの公式サイトに掲載された番組の宣伝記事を見れば、「あの暗殺事件の闇に迫る」と刺激的な見出しが躍っている。本文の一部をご紹介しよう。 《今回、NHKは、CIAの元調査員や米軍関係者、JFKの甥(おい)、映画監督のオリバー・ストーン氏ら66人のチームと共同で、機密文書の一部や非公開ファイルを入手し、分析。その結果、「暗殺は元海兵隊員・オズワルド単独によるもので、黒幕はいない」と、アメリカ政府が断定してきた“定説”が根底から揺らぎ始めました》 《日本~旧ソ連~アメリカとオズワルドの足跡をドラマ化。さらに、これまでメディア取材に応じてこなかった元軍人やCIAの幹部らも初証言。オズワルドを事件へと導く“壮大な策略”も浮かび上がってきました。大統領暗殺という衝撃的事件、その闇に迫ります》  実際のオンエアも、ドキュメンタリーの部分はオズワルドとCIAの知られざる関係を追った。ケネディの甥にあたるロバート・ケネディJr.が独占インタビューに応じたほか、複数の元CIA高官も組織の“暗部”を明かした。  ドラマ部分も、オズワルドの知られざる一生を丁寧に描いた。暗殺の瞬間を再現したのは当然ながら、オズワルドがロシアに亡命したり、アメリカに帰国して妻に暴力を振るったりする場面などは、「初めて知った」と驚いた視聴者も多かったに違いない。  なかなかの力作ということもあり、視聴者の反応は、おおむね好意的だったようだ。ツイッターの検索結果から、評価する声の一部をご紹介しよう。 《NHKスペシャル「JFK暗殺」前後編すごくおもしろかった》 《NHKの取材力の凄さを感じました》 《再現映像のクオリティがとても高く映画を見ているようだった》 《このシリーズは本当に見応えが凄くて、今回も没入感が凄まじかった。目の前の分かりやすい陰謀論に飛び付かず、資料を綿密に調査し、世界に足を伸ばして真相に肉迫する内容が最高》 (註:一部のツイートは改行を削除するなど、デイリー新潮の表記法に合わせた、以下同)。  ところが、である。一般の視聴者は「充実した番組だった」と満足したかもしれないが、専門家は全く逆の感想だったという。 『捏造の世界史』(祥伝社黄金文庫)などの著作がある、アメリカ現代史研究家の奥菜秀次氏は2004年11月、週刊新潮に「『ケネディ暗殺犯』オズワルドの愛人だった『日本人女性』」の記事を寄稿している。  著作や記事のタイトルからもお分かりいただけるだろうが、奥菜氏は陰謀論に精通。中でもケネディ暗殺事件における「複数犯説」を詳細な資料と取材から否定し、リンドン・ジョンソン大統領(1908~1973)が設置した調査委員会が1964年9月に完成させた「ウォーレン報告書」が結論づけた「オズワルド単独犯説」を覆す証拠はないと指摘している。

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