「80:20の法則」と「夫の支え」が導いた、大手金融機関初の女性CEOの誕生~アメリカの女性リーダー、日本においては「極端な例」なのか?~
アメリカでは、カマラ・ハリス氏が米国初の女性副大統領に就任予定となり注目されています。またバイデン次期大統領は、新しい政権の重要ポストに積極的に女性を指名しています。 実は、アメリカの女性進出は政界だけではありません。”Boys’ Club”といわれ男性主体の生き馬の目を抜くかのような厳しいウォールストリート、金融業界でもついに超大手金融機関初の女性CEOが誕生しました。2020年9月、米金融大手シティグループはジェーン・フレイザー氏をCEOとして指名。2021年2月から就任するということで話題となりました。男性社会を上りつめたジェーン・フレイザー氏とは一体どういう女性なのでしょうか。また、日本では「指導的地位に占める女性3割」の目標はどうなっているのかも気になります。
母親の顔をもつ超エリート
フレイザー氏はスコットランド出身の53歳。英ケンブリッジ大学経済学部を卒業し、米ハーバード・ビジネススクールでMBAを取得したエリートです。YouTubeの本人のスピーチ(※1)によれば、2人の息子さんの母親だそうです。旦那さんが夕食にピザだけでなく、野菜もちゃんと食べさせているかを心配したり、息子さんの歯磨き粉を仕事帰りに買って帰ったりと、普通の母親と同じことを考える時間も持つ優しそうな温かみのある女性です。 ゴールドマン・サックス、マッキンゼーと有名どころに勤めた後、シティグループに入りました。様々な分野、複数の国を経験し、シティでは16年間出世街道を歩み、頂点に立つことになったのです。
80:20の法則で子育てと両立
子育ての大変な時期は、マッキンゼーで5年間パートタイムという立場で働きながら、子育てを優先させたといいます。焦りはあったようですが、「いっぺんにやりたいこと全てを納得いくようにはできない。80:20の法則を身につけなくてはならなかった」と述べています。 80:20の法則、いわゆる「パレートの法則」ですが、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート氏が発見した法則で、ビジネスでよく使われている考え方です。20%を極めれば80%は達成できる。全てを完璧にこなそうとするより、優先を決めてそれに集中した方が効率的だということです。さすが、ハーバード・ビジネススクール出身のキャリアマザーらしい発想です。 5年間、仕事を減らし、子育てに集中した後は、フルタイム勤務にもどりました。ワーキングマザーはそれまでの人生で最も大変なことだったといいます。子供への罪悪感もあったようです。 転勤をきっかけに、歳の離れたおなじく金融機関に勤めていたご主人がアーリーリタイヤする形となり、彼女の転勤に子どもと一緒について回り彼女を支えてくれたようです。そういえば、カマラ・ハリス次期副大統領のご主人も弁護士の仕事を辞め、次期副大統領となる妻を全面的に支える方針だと、伝えられています。