腕骨折手術の鎮静剤で一時心肺停止、意識戻らず死亡 損害賠償求め提訴、公表遅れも批判
大阪公立大学(旧大阪市立大)医学部付属病院で令和元年、手術を受けた男性が鎮静剤の投与後に一時心肺停止となる医療過誤があり、その後死亡した男性の遺族が29日、同病院を相手取り、計約1億5千万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。 訴状などによると、男性は元年12月、骨折した腕を手術するために入院。鎮静剤を投与された後に一時心肺停止となり、その後も意識が戻らないまま、5年7月に肺炎で死亡した。 心肺停止は鎮静剤の影響で舌が気道をふさいだためとみられる。遺族側は「鎮静剤を投与した後の医師の経過観察が不十分で、看護師へのリスク伝達も怠った」と注意義務違反を訴えている。 同病院は4年11月、記者会見を開き、医療過誤を謝罪した。3年8月にホームページで事案を掲載したものの、遺族は当初から迅速な報道機関への公表を希望していたという。遺族側は「院内の公表基準を説明せず、公表まで3年近くも待たされ、不信感を募らせた」として公表遅れに伴う慰謝料も求めている。 同病院は「改めて心から深くおわび申し上げます。訴状が届き次第、弁護士と内容を精査し、対応いたします。また、本件を病院として真摯(しんし)に受け止め、今後もご家族様に誠意を持って対応いたします」としている。