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白夜の島、時間捨て自由に 午前4時の芝刈りも「アリ」

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The Guardian

【記者:Jon Henley】  夏には真夜中でも太陽が沈まない白夜が続くノルウェー北部の小さな島で、島を世界で初めての時間の概念がない「タイムフリー・ゾーン」とし、時計の支配から解放されようというキャンペーンが行われている。  キャンペーンが行われているのは、ノルウェー北部トロムセの西にある、人口350人ほどの北極圏の小さな島ソマロイ。キャンペーンを主導するチェル・オーベ・ベーディング氏はノルウェーの公共放送NRKに対し、「人々は世界各地でストレスやうつにさらされている」と述べる。 「多くの場合、時計にとらわれている感覚があることが原因だ。皆が人生を存分に生きられるよう、ソマロイはタイムフリー・ゾーンになる。24時間、完全なフレキシビリティーをもたらすことが目標だ。午前4時に芝刈りをしたければ、すればいい」  ソマロイの主要産業は観光業と漁業。住民は現在、慣習的な営業時間を廃止し、誰もが「したいことをしたい時に」できるようにしようと呼びかけている。ただ、子どもは通学しなければならないとベーディング氏は言う。  ソマロイは11月から1月にかけて暗闇に包まれるが、夏は、5月18日に太陽が昇ると7月26日まで沈まない。 「ここは常に昼間だ」。フェイスブックに設けたキャンペーンのページで、ベーディング氏はこう述べる。「午前2時に自宅の壁にペンキを塗りたくなったら、塗ればいい。午前4時に泳ぎたくなったら、泳ぐ」 「ここでは真夜中の太陽を余すことなく楽しむ。そう、午前2時に砂浜で友人とコーヒーを飲むのも普通のことだ」とする住民も。  観光当局はNRKに対し、このキャンペーンが夏季の観光客を呼び込むための巧みな作戦だと指摘しているものの、興味深い考えだと称賛する心理学者もいる。 「魅力的なコンセプトだ」。ノルウェー科学技術大学のトルルス・エギル・バイラー教授は言う。バイラー教授はNRKに対し、社会が「非常に統制され特別な方法で」時計に支配されるようになったのは、過去200年のことだと指摘。「それ以前はほとんどの場合、必要であれば働き、空腹になれば食べ、疲れたら横になるといった状態だった。現代社会では、起きた瞬間から行動すべてが時計のペースでコントロールされている」  一方、ソマロイの住民が時間のない生活を送ることは決して容易ではないとも指摘する。「世界の時間からこの島を抜き取ることを不可能とは言わない」とした上で、「だが、とても難しいと思う」と述べている。  観光客の間でも、この考えは熱狂的に受け止められているという。中には時計を外し、島につながる橋につけて置いてくる観光客もいるという。  だが、住民全員がこの取り組みに確信を持っているわけではない。ソマロイ・アークティック・ホテルのフロントで働くマリン・ノールヘイムさんは「チェックインとチェックアウト、またバーやレストランの営業時間で、利用客ともめるのが目に見える」と言う。「どうかな、と思うところもある」 【翻訳編集:AFPBB News】 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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